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「ヒモ男、働く。」第4話

プレステのコントローラーを取り上げられたヒモ男、パチンコだけで生きていけると確信してみた

 データを入念に読み解くと。1,000円で真ん中に20発以上入るなら、期待値はプラスで、打ち続ければいつか儲かる。という感じの、機種を見つけることができる。

 必勝法と言えるだろう。

 意気揚々と近所のパチンコ屋に出向いた。そして、その日のうちに7,000円ほど勝ってパチンコ屋を後にした。

 タバコを吸いながら、ハンドルに指を引っ掛けて固定して、スマホを眺めているだけで、7,000円である。

 私は思った。私は天才なのではないかと。これならパチンコを打っているだけで生きていけると確信した。

 翌日、有り金の全てを握りしめ、朝イチで同じ店に入った。

 狙い通り、前日と同じ台をゲットした。

 ガラスに鼻の皮脂がつくほどベッタリ密着し、釘が変わっていないか一本一本チェックした。周囲の客が怯え、離れていく気配を感じながら、気が済むまで念入りに確認。釘は変わっていなかった。

 一日中、その台を打ち続け、収支2万円ほど勝利を収めた。玉満載の箱が背後に積み上げられていくたびに、鼻の穴が膨らむのを感じた。

 コントローラーを取り上げたのに、平然としている私を不思議そうに見ている彼女の様子に、笑いをこらえるので必死だった。

 翌日も、朝イチで同じ台を確保。親の顔より見た釘だ。変わっていないと、確信を持って言える。

 順調に玉は機体の真ん中に入っていき、スロットは回っていく。しかし、ここで異変があった。

 抽選を平均300回すれば大当たりになるはずなのに、500回を超えても一向に当たる気配がない。

 しかし、ここまで回したのだから、じきに当たる。むしろ、ここで台を移動して他の人にカッさらわれる方がもったいない。

 執念で回し続け、なんとか当たりを引く。が、ぶち込んだ金額に対して、戻ってくる玉はあまりに少ない。

 そこで引いては、負けで帰ることになる。許容できなかった。

 期待値はプラスなのだ。一時的にヘコむことがあっても、回し続ければ勝てる。

 そう信じ、打ち続けること半日。威勢よくガラガラ鳴っていたパチンコ台は、スカンッスカンッスカンッと虚しい空打ちの音を響かせていた。

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