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都合のいい時だけ「反対運動」で遊ぶんだな……違法ダウンロードでマンガ・小説も刑事罰への道程

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 海賊版サイト対策として打ち出された、著作権者に無断で公開された漫画や小説など「静止画」のダウンロードを違法化し刑事罰を科す法改正案の動きが波紋を呼んでいる。

 報道によれば文化庁が提出した著作権法改正案では、著作権者に無断で公開されたマンガや小説なども映像や音楽と同じく違法とし、2年以下の懲役か200万円以下の罰金などの刑事罰を科すのが適当であるとしている。さらに、対象となるのは、海賊版サイトだけでなく個人のブログやSNSなどに取り込まれたものなど、極めて幅が広いのである。

 この文化庁の方針を受けて、多くの人が危機感を抱いている。2012年の著作権法改正の時に危惧された問題が、より強力な形で降りかかってきているからだ。

 海賊版への対抗策として著作権法が改正されて、違法配信と知りながらインターネットのサイトから音楽や動画をダウンロードした場合に、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科せられるようになったのは2012年のこと。この時に対象にされたのは、音楽や映像に限られた。

 当時はそれでも、法改正への危機感は強かった。インターネットを使っている人々の中で、YouTubeやニコニコ動画を通じて、違法にアップロードされているであろう音楽や映像を楽しんでいない人などいない状況はすでに生まれていたからだ。つまり「国民全員を容疑者」の誕生である。

 今回のマンガや小説などへの適用拡大は「国民全員を容疑者」の範囲拡大にほかならない。

 ただ、そうした法改正がなされたとして、いきなり心当たりのある人の自宅に警察が踏み込んでくるような状況は想定しがたい。実際に、2012年の法改正以降に、そんな目に遭った人はいない。それでも問題なのは、法律によって、いつでもそういう目に遭う可能性が強化されていることだ。

 実に「国民全員を容疑者」にする法律は、それでも由々しき問題を解決する目的という「美名」に隠れたりして次々と出来上がっている。

 例えば、児童ポルノ法。この法律、マンガ・アニメ・CGが対象外になったことで、過去の話になっているが、所持の禁止が明記されたことで、いつでも警察に踏み込まれる可能性が生まれたことは否定できない。

 今回の著作権法改正の問題が出てきて、それに反対する声を上げている面々を見ると「児童ポルノ法」の問題の時に、マンガが対象外になっただけで喜んでいる人もちらほら。同様に、問題だらけの法律である特定秘密保護法や共謀罪創設の時には、権力側のオタク趣味な議員に尻尾を振っていた面々もいっぱい。

 都合のよい時だけ反対の声を上げて、木を見て森を見ずだね、これは。
(文=昼間たかし)

最終更新:2019/02/09 18:00
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