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負けを知ることで人は本当に強くなれる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第7話

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火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』|TBSテレビより

(前回までのレビューはこちらから) 

 人は嫉妬をする生き物だ。

 自分よりお金を持っている人や、異性にモテる人、仕事が順調な人などに会ったり、話を聞いたりすると、「何でこいつばっかりいい思いをしてるんだ?」という気持ちになって、その人の不幸を願ってしまう。有名人のスキャンダルを聞いておもしろがるのは、そんな嫉妬心を満足させることができるからだ。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第7話。今回は、そんな「嫉妬心」がテーマとなっていた。

 東大受験に向け、自分の授業では理数系が弱いと感じた順子(深田恭子)は、匡平(横浜流星)を東大専門の塾「花恵会」に通わせようとする。最初は反対した匡平だったが、通うのは理数3科目だけ、他は今まで通り順子が教えるということで、納得する。

 花恵会で、匡平の担当となったのが、塾で一番の人気講師・百田(高梨臨)だった。まだ27歳と若く、海外の有名大学卒で、美しく、生徒からの人気も抜群。自分にないものを全て持っている百田と今の自分を比較し、順子は落ち込む。

 友人の美和(安達祐実)に悩みを話すと、「それは嫉妬だ」と告げられる。順子は否定するものの、「負けていられない」という気持ちがあることは確かだ。

 花恵会で、百田は、匡平に特に熱心に教えようとする。しかし、そんな百田に、匡平は何か違和感を持つのだった。

 一方、順子に思いを寄せる従兄弟の雅志(永山絢斗)と、匡平の担任・山下(中村倫也)も、引き続きアプローチを続けていた。

 雅志は、順子にきちんと告白しようと段取りを整え始める。山下は、匡平について話をしたいと言って、順子を誘い出し、お酒を飲むのだった。その席で、順子は「先生は見送るのが仕事。よく考えたら寂しい」と、心情を吐露する。

 百田は、秘密を抱えていた。実は彼女、順子と雅志の高校の同級生であり、雅志に告白して振られたことがあったのだ。しかも、そのことをきっかけに、順子に嫌がらせをしていた。百田こそが、順子に対し、激しい嫉妬心を抱いていたのである。

 しかし、嫌がらせという形での嫉妬の解消の仕方は間違っている。自分の感情にまかせて相手を攻撃するだけでは、何も生まれてこない。本当の意味で、その感情と向き合うのであれば、自分が「嫉妬されるような人間」になることを目指すべきだ。才能だって、収入だって、何の努力もせずに手に入るものではない。浅はかな嫉妬心を抱く人は、その点を忘れている。もし、本質的な嫉妬をするのなら、それは「努力することができる能力」に対して向けられるべきだ。

 その頃、どんなにひどいいじめにあっても、順子は泣かなかった。「受験の邪魔さえしなければ何をしてもいい」「私は私と勝負してる」そう言う毅然とした強さに、雅志も恋心を抱いたのだ。

 学生時代の順子のことがまたひとつ明らかになった。深田恭子は、この過去を踏まえた上で、順子を演じているのだ。心の強さ、東大不合格という挫折、一見すると、大人になってだいぶ変わってしまったようにも思えるが、芯の強さは、変わっていない。いや、むしろ強くなっている。それは、「東大不合格」という負けを知ったからだ。

 負けを知らない人は、負けた人の気持ちを理解できない。それは多分、人として大きな弱みだ。「強さ」というものが、人生の中でいかに多くの人と気持ちを通じ合わせることができるかという基準だとすれば、負けを知った人ほど、より強くなれることになる。

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