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平成J-POPプレイバック!

デビュー曲から規格外! 平成という時代を駆け抜けたSPEEDの光と影 

文=青木優

デビュー曲からレベルが違った

 こうして各人を見ると、あまり明るくなさそうだが(笑)、それは僕が場を強引に盛り上げるようなインタビュアーじゃないからかもしれない(活字媒体の書き手は、だいたいそういうもんだ)。撮影に入ると、クリスマス風の衣装になった4人は、にこやかだった。若々しく、元気なグループの陽性のエネルギーが、スタジオの中心で輝いていた。その時の写真の出来があまりに良くて、試し撮りを見たマネージメントのスタッフが「写真チェックはなしで大丈夫です」と編集者に言っていたほどだ。今みたいに画像データをPCで直すこともないし、まだ、ゆるい時代だったんだな。それに、SPEEDというグループを取り巻く環境も、おそらく。

 ただ、こうして思い出すと、取材の場での彼女たちの姿は、グループの本質の一端だった気もする。なにしろSPEEDは沖縄アクターズスクールの出身。つまりこの連載でも書いた安室奈美恵やDA PUMP、それにMAXと同じ出自を持つのである。ダンスが好きで、幼い頃からそれを志してきた子たちが集まったグループなのだ。

 ただ、いざデビューして芸能界というところに来ると、ダンスや歌だけやっていればいいわけではなく、それなりの対応力を身につけることが求められる。TVカメラの前ではおどけた姿ができたらいいだろうし、人に面白がられるトークもすべきだろう。それが本分ではないものの、要求される場面で応える能力はあっていい。

 そういうことも、彼女たちは徐々に体得していったに違いない。僕が受けた、決して明るすぎない4人のイメージは、デビュー直後の、まだ無邪気でもよかったタイミングゆえのものだろう。

 さて、SPEEDのデビューはこの少し前の1996年の8月、シングル「Body & Soul」にて。その頃から彼女たちは並のグループとは違う印象があった。何においてもレベルが違ったのである。

 この歌は、ギターのカッティングはシックの「おしゃれフリーク」を彷彿とさせ、そうして連ねられるファンキーな感覚に乗っていく島袋と今井のヴォーカルが秀逸である。当時「これ唄ってるの、ほんとに小学生か!?」と驚いたものだ。のちに多数のカバーも生んだ曲であり、いきなり大ヒットを記録した。プロデューサーは伊秩弘将で、彼の存在もここからクローズアップされていく。

 2枚目のシングルは先ほどの「STEADY」で、今度は横ノリの楽曲で実力を示した。もともとSPEEDは当時のアメリカのR&Bで大人気だったTLCに憧れを持っており、この曲のミディアム寄りのリズムにはその傾向が見られる。時おり聴こえるピーヒョロロ~みたいなキーボードの音色はGファンクを意識しているはずで、そのくらいSPEEDの音楽性にはR&Bやファンクの影が大きかった。そしてそれを小中学生が唄って踊っているという事実が、めちゃくちゃセンセーショナルだったのだ。

 SPEEDは、名曲をどんどん世に送り出していく。歌詞も話題になったのは「Go! Go! Heaven」。伊秩の詞は、あざとさ直前のところでそれをポップに昇華させるバランスがあるが、時々「そこまで唄わせるんか!」ってものもありで、しかしそれもSPEEDには合っていた。そこには彼女たち自身のテーマ、たとえば枠をはみ出して生きること、自分たちにとって大切にしたいことなどが反映されており、リスナーはSPEEDの実像と重ねながら楽しむことができたのだ。

 デビュー曲のニュアンスをさらに発展させたかのような曲は「Wake Me Up!」。この頃の彼女たちは、こういうファンキー感がほんとにお得意だ。ちょうどこの歌の頃にライヴを見る機会があり、それはじつに爽やかな、気持ちのいい空間だったことを記憶している。

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