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荻野由佳への脅迫で逮捕、「正義」に殴られ続けるNGT48残留メンバーたち

 新潟県警は20日、アイドルグループNGT48メンバーの荻野由佳を「殺す」と脅迫したとして、京都府在住の無職・堂本一輝容疑者(24)を逮捕した。

 堂本容疑者は9日、荻野由佳の名前と「殺す」と繰り返し書いたファックスを新潟県内の行政機関や一部報道機関に送信。送信先の機関から代理人を通して連絡を受けた荻野由佳が被害届を提出し、捜査を行っていたという。堂本容疑者は「送ったのは間違いない」と供述している。

 NGT48をめぐっては、今年1月に発覚したNGT48の暴行事件への関与が疑われ、数名のメンバーへのバッシングが相次いでいる。とくに荻野由佳はグループ内でも知名度の高いメンバーだっただけに、誹謗中傷に晒されてきた。

 先月には、女性ファッションブランド「Heather」の荻野を起用したプロモーションに批判が殺到、広告が取り下げられた件も記憶に新しい。今回の脅迫事件は、エスカレートし続ける荻野由佳へのバッシングが度を越した例とも言える。

 ネットでのバッシングに晒されるNGT48メンバーは、他にも西潟茉莉奈や太野彩香、山田野絵らがいる。4月27日、山口真帆を除くNGT48メンバーが横浜スタジアムで行われた「AKB48グループ春のLIVEフェス」に出演したが、会場ではメンバーたちに野次が飛ぶシーンもあったようだ。山田野絵がステージ上で号泣する姿は、ネット上で拡散された。

 5月18日、新潟市内の劇場では、山口真帆、長谷川玲奈、菅原りこの3名が卒業公演を行った。運営から暴行事件について十分な説明がないまま、被害者の山口真帆がグループを去ることになったが、これで事件が収束しNGTは再スタートを切れるのだろうか?

 そもそもネット上ではNGTメンバーを「白」か「黒」かで分断する見方が根強い。山口らの卒業公演には一部のメンバーが登場したが、こちらを「白」としたうえで、登場しなかったメンバーに批判を向けるファンは少なくない。しかしこの事件の核心を、“メンバー間の確執”の問題にしてしまっていいのだろうか。女同士の闘いのような見え方にすりかわってしまえば、本質を見失かねない。

 

 また、荻野ら特定のメンバーへのバッシングの根拠となっているのは、過去に配信された個人動画での言動や、ブログの文章といったものばかりだ。そのうえで、山口真帆が「味方をしてくれた」と言及していないメンバーたちが「黒」とされている。しかし山口真帆に寄り添わなかったことがすなわち犯人グループとつながっていた証拠と捉えるのは短絡的ではないか。彼女たちを誹謗中傷することが“正義”であるかのような空気には、危機感を覚える。

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 “悪者”のレッテルを貼りつけたメンバーに暴言をぶつけるのは、歪んだ正義感であり、明らかに誤った認識だ。相手が有名アイドルとはいえ、根拠のない情報を流せば名誉毀損にもなり得、ましてや殺害予告などは逮捕事案となる。山口真帆を応援する一方で、「黒」と決め付けたメンバーを貶めることは、山口真帆の望むところなのだろうか。

 第三者委員会による調査報告書では、メンバーの事件への関与はないとされた。それでもおさまらぬバッシングを沈静化させるには、3月におこなった会見で持ち帰った議題を、運営側が再度検証し、報告の場を設けることが必要だろう。それは「スタッフと一部のファンとの私的領域での接触について」などだ。メンバーたちが矢面に立たされ、批判に耐え続ける状況を、早く終わりにしなければならない。

最終更新:2019/05/21 07:15
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