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テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

「山里亮太とは何者か」という問いに、修正され続ける「答え」 

山里亮太

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月2~8日))に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

有田哲平「みなさん、クイズ番組の作り方、今日はたくさん勉強しましたね」

「ちょっといいですか? 僕今日は、解説員の方たちのほうに座らせてもらえると思って……違います?」

 7日の『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)は、堤真一のそんな問いかけから始まった。堤がゲストの席ではなく解説員の席に座りたい理由はただひとつ、「そっちのほうが賢そうに見える」からである。結果、司会の有田哲平(番組上は「アリタ哲平」名義)は解説員の出口保行を帰らせ、堤を解説員席に座らせた。

 もちろん、『脱力タイムズ』の視聴者ならおわかりのように、これらのやりとりはすべて台本通りの演出である。ただ、今回に限っては、出口はこの台本を知らされていなかったのかもしれない。スタジオを出ていく出口のキョトン顔は、そのぐらい真に迫ったキョトンだった。いや、それもフェイクか。出口なら、あの程度の演技はするのかもしれない……という具合に、どこまでが台本なのか、リアルなのか、その境界が曖昧になっていく感じがこの番組の真骨頂だ。

 で、今回の出口は置いておいて、いつも必ず台本を知らされず有田らに翻弄される出演者が一人いる。ツッコミ役としてゲスト出演する芸人だ(ベッキーやSHELLYだったこともあるが)。今回の芸人ゲストは、ロザン・宇治原史規 。数々のクイズ番組で活躍する、京大出身の高学歴芸人である。

 この日は、宇治原が出すクイズに堤らが挑戦する企画が放送された。けれども、やはりただのクイズでは終わらない。自分たちはわざと答えを間違え、堤を機嫌よく優勝させる手はずになっている、そんな裏事情を解説員の齋藤孝らは「暴露」し、堤も「そういうもんでしょ?」と、クイズ番組での忖度の存在を匂わす。誤答を続け、堤を「おもてなし」していく齋藤ら。「我々は社会人ですからね」と、この場面では誤答こそが社会人的な正解だとでもいうように。

 しかし、肝心の堤がクイズに正解できない。たとえば、「2019年のアカデミー賞最優秀主演男優賞受賞者で、『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディー・マーキュリーを演じたのは?」という問題に、「袴田吉彦」と回答してしまう。困った有田は、宇治原に提案する。

「『袴田吉彦』という答えになる問題を作っていただくと、ありがたいんですけど」

 問いかけていた側が、問われる側に回る。答えが問いで、問いが答えになる。そんなねじれた展開に困惑しながら、宇治原は答えた。

「……アパホテルが大好きな俳優といえば?」

 最終的には、「なめなめなめろう」というこの世にない言葉が答えになる問いを、作らされる宇治原だった。

 どこまでが台本で、どこまでがリアルか。その境界を曖昧にする『脱力タイムズ』は、問う側と問われる側、問いと答え、正答と誤答、そんなクイズ番組を構成する要素の関係をも、次々に反転させていった。

 有田はこの番組で、演出にも深く関わっているという。「総合演出 有田哲平」と記されたスタッフロールが流れるエンディングで、有田は不敵な笑みを浮かべながら言った。

「みなさん、クイズ番組の作り方、今日はたくさん勉強しましたね。また来週です」

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