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『きのう何食べた?』内野聖陽がケンジで、西島秀俊がシロさんで良かったと痛感した第10話

一緒にいることを当たり前だと思っていない2人

 シロさんに不安を爆発させたケンジ。それは、ケンジの過去とトラウマが影響している。自分たちを裏切って家を出ていった父親。どんなに深い仲でも、関係が終わることはある。そんな記憶が蘇ったところで、さらに玲子から「浮気されたらダメ」と忠告された。ケンジのトラウマが不安に変化し、浮気経験のある自身の過去も追い打ちをかけた。

「絶対、2人っきりで会わないで……!」(ケンジ)

 原作ではサラッとコメディ調に描かれた場面だ。でも、内野はあえて激しく演じた。違和感はない。血が通ったし、シロさんへの思いが強く伝わってきた。まばたきなし、カメラ回しっぱなし。唇を震わせ、内にあるものを全開にしたケンジ。ケンジ役が内野で良かったと、今回改めて思った。

 対するシロさん。始めは笑顔であきれ気味だった。でも、ケンジの本気を察し、笑顔を引っ込めた。様子の違うケンジに掛けた「なあ……どうした?」の言い方がすごく良い。パートナーの変化に気付いた彼が発した声のトーンは温かい。続く「嫌ったりしないよ!」の声は、まるで本気である。

 シロさんもケンジも、一緒にいることを当たり前と思っていないのだ。法に守られていないからこそ、別れないための努力がゲイカップルは必要と訴えた8話。2人が絆を再確認した9話。そして、今回の10話。見事につながっている。

「どんなに関係の深い人でも、許せない人と続けていくのはしんどいよ……」(ケンジ)

 ケンジの気持ちを尊重し、シロさんはその場で小日向に断りの電話を入れた。直後の「これでいいか?」の言い方も良かった。怒っているのではなく、声のトーンで安心させようとしている。

「もう、いいから。餃子作るぞ? 手洗ってこい」(シロさん)

「嫌われるかも……」と不安に苛まれていたケンジを日常に戻そうとするシロさんの言葉。食事は2人にとって何よりも大切な時間だ。

クレープで思いを伝えたシロさん

 週末。嫉妬が爆発したケンジに、シロさんはクレープをふるまった。体重管理には厳しい彼なのに、明らかに太りそうなブランチである。ケンジは態度で、シロさんは料理で、相手に思いを伝えているということ。

 三谷まみのポスターを発見したケンジ。詰め寄られたシロさんはバレバレの言い訳をしている。2人のこのやり取りは、もはやプレイだろう。ケンジの涙で沸点に達し、シロさんとケンジのイチャチャに着地した10話だった。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2019/06/21 13:30
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