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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.549

よくあるTVドラマの劇場版と思うと火傷する!!  池松壮亮と蒼井優が異常に熱い『宮本から君へ』

 

新井英樹の原作コミックの完全映画化となる『宮本から君へ』。宮本&靖子役の池松壮亮と蒼井優がハンパない熱量を放っている。

 2018年に放送された池松壮亮主演ドラマ『宮本から君へ』(テレビ東京系)の最終回を観て、視聴者の多くは「えっ、これで終わり?」と戸惑ったのではないだろうか。漫画家・新井英樹がバブル時代の1990年~94年に連載した原作コミックの前半部分にあたる“サラリーマン奮闘編”しかドラマは描いていなかったからだ。ドラマの終わりに「劇場版『宮本から君へ』の公開決定!」という告知があるのではとエンディングまで見届けたものの、それもなかった。原作のあの怒濤のクライマックスはどうなるのだ、というモヤモヤ感が残った最終回だった。

 バイオレンス青春映画『ディストラクション・ベイビーズ』(16)で日本映画界に殴り込んだ新鋭・真利子哲也監督でも、『宮本から君へ』後半パートの映像化は無理だったか……。あれだけ過剰なエピソードが満載なら仕方ないよなと諦めていた矢先、物分かりのよくなった自分を揺さぶるようなニュースが伝わってきた。『宮本から君へ』はまだ終わっていない。劇場映画の製作が進行していると。やってくれるじゃないか、宮本浩! そして池松壮亮&真利子監督! テレビでは不可能だった大胆な性描写や過激なバイオレンスシーンを盛り込んだ映画『宮本から君へ』がようやく公開される。もちろん、原作連載時に物議を醸したクライマックスまでを描いた完全版としてだ。

 本作の主人公・宮本浩(池松)は飯田橋にある小さな文房具会社に勤める平凡なサラリーマンだが、映画では宮本が働く姿はほぼ描かれない。職場の先輩・神保(松山ケンイチ)に誘われた飲み会で出会った年上のOL・中野靖子(蒼井優)と鋭い刃物で斬り結ぶかのような激しい恋愛ドラマ、いや愛憎劇となっている。とにもかくにも池松と蒼井の放つ熱量がハンパない。

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