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テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

大久保佳代子と滝沢カレンの、予測不能なトークの行方

文=飲用てれび

大久保佳代子(撮影=尾藤能暢)

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(10月6日~12日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。

大久保佳代子「その彼は、その夏の終わりとともにいなくなったの」

 言葉は怖い。テレビの出演者の発言が問題となり、「炎上」することなど日常茶飯事だ。言葉の意味が曲解されて伝えられることもある。多少、無理やりにでも。

 そこでここでは、テレビで出演者たちが交わした会話について、細かいところも含めて思い切り褒めてみたいと思う。指弾するのではなく称賛したいと思う。多少、無理やりにでも。

 題して、「先週見たテレビのこの会話がすごい」。

 1つ目は、12日の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)での会話。この日は大久保佳代子と滝沢カレンがゲストとして出演。オードリーの2人とトークを繰り広げていた。

 番組開始早々、「自分で自分を褒めるなら?」と聞かれた大久保が語り始める。

大久保「私は人がそんなに好きじゃないんですよ、たぶん。その分、動物とか生き物にめちゃめちゃ優しい。異常なぐらい優しいところがあって。最近だと夏が終わったけど、夏の終わりって、セミがだいたいアスファルトに裏返って死んでるでしょ。あれを、裏返ったら戻してあげるの、土のところに」

若林「セミを?」

 まず、「人がそんなに好きじゃないんですよ」というトークの導入。これがすごい。テレビのバラエティ番組の役割は、視聴者に何かしらの意味で「面白さ」を感じさせるところにあるのだろうけれど、にもかかわらず、「私は人がそんなに好きじゃない」と始まり、さらに、セミの死というようなネガティブな話題を連ねる。さて、これからどんなふうに「面白く」転がっていくのか、その展開の読めなさがすごい。

 あと、いくら生き物に優しいといっても、死んでいるセミにすら優しいというのはちょっとすごい。若林も「セミを?」と聞き返しているけれど、そう聞き返してしまいたくなるほどの、生命とその循環に対する大久保の慈悲の深みがすごい。

 会話は続く。不穏な話題から入った大久保のトークは、どう展開していったのか。

大久保「夏終わるなと思いながら(死んだセミを土のところに)戻してるんだけど、それを何年もやってた時期があったときに、30過ぎで彼氏ができたの。急に。夏に。飲み屋で会って急激に付き合って、付き合いだして、あぁいいなって思ったときに、うちによく来るようになって。で、お風呂に入ったのね、2人で。で、2人でイチャイチャしながら入ってて、私が髪の毛洗ってたら、その彼が(私の)背中におしっこをかけたの」

春日「え? 急にですか?」

大久保「急に。『熱い』つって」

春日「『熱い』っていうリアクションになるのね」

 セミの死骸を土があるところに移動させるという話から、突然彼氏ができ、お風呂でイチャイチャし、そして放尿されるという話への急激な展開。起承転結の「転」の振り幅がすごい。そんな急展開にもかかわらず、唐突におしっこをかけられるという話が、「私は人がそんなに好きじゃない」という起承転結の「起」にもつながっているように思えてすごい。

 そして、数々の罰ゲームやドッキリなどを経験してきたとしても、突然背後から尿をかけられるという経験はやはりない。そんな春日の「『熱い』っていうリアクションになるのね」という感想からは、どんな話題にも新たな発見はあるのだなと思えて、人類の学習能力はやはりすごい。

 さて、大久保の話はオチへと向かう。

大久保「で、その彼は、その夏の終わりとともにいなくなったの。セミだと思う」

若林「これは素敵な話だなぁ……(笑)」

 おしっこをかけられたあたりからある程度予測はつくわけだけれど、「セミだと思う」というオチ。2人の関係のアツさ、風呂のアツさ、そしておしっこのアツさ、それらが夏のアツさの終わりと重なるという話の構成に、叙情的な切なさと笑いが同時に押し寄せてきてすごい。

 そして何より、切なさとバカバカしさを同居させる話術と、現代の昔話みたいな話のリアリティを担保する大久保佳代子というキャラクターの安定感がすごい。

 大久保は最後に真顔でこう言った。

「うちのベッドがセミダブルだったから。セミダブルの恋」

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