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熱血!”文化系”スポーツ部

ラグビーW杯、見るべきはスポーツ番組よりCM? 三井住友銀行ラグビーCMが素晴らしすぎ!

語りたくなるCM

 ちなみに、ラグビー日本代表といえば「桜のエンブレム」が象徴だ。そして、三井住友銀行といえば、01年、宿澤のいた住友銀行とさくら銀行とが合併してできた銀行である。つまり、銀行は銀行で「さくらの物語」を継承して今がある。そんな思いをラグビー日本代表に託したい……そんな見方だってできそうだ(きっとこれは深読みしすぎだと思うが)。

 このCMの意義深いところは、「語りたくなる」こと。私の周囲のラグビーファンにこのCMを見せたところ、「なぜ吉田義人がいない?」といった声を何人も上げていた。確かに「レジェンド」という意味では、“オールブラックスからトライを決めた男”吉田も外せないひとり。単にCM尺の問題だと思うのだが、「あ、あなたはそっち派なのね」「あの映像って、あの試合のプレーだよね」といったさまざまな会話を通して、「やっぱりみんな、ラグビー大好きじゃん」という再確認ができる。

 そして、最後のメッセージがまた素晴らしい。

「世界の壁は高く、一人の前進は小さい。しかし、その挑戦を重ねない限り、たどり着けない未来がある」

 ラグビーという競技、日本代表という歴史を、これほど端的に教えてくれるコピーはないのではないか。制作陣に脱帽である。

 今回のW杯では、この三井住友銀行のCM以外でも、ラグビーをテーマにしたCMで秀作が多かった。なんなら、ヘタなスポーツ番組よりも、よっぽどラグビーの魅力、伝えるべきポイントを押さえているなぁ、とうなることばかりだった。

 選手たちが今回のW杯で「ラグビーを文化として定着させたい」という重い使命を抱きながらプレーしていたのと同様、「ラグビーの魅力をしっかり伝えたい」と思う人たちが大勢いた証し、といえる。日本代表の勇姿とともに、後世に語り継ぎたい名作CM群にも敬意を表したい。

(文=オグマナオト)

最終更新:2019/10/24 14:04
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