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若手放送作家の「超YouTube学」10月号【5】

のんも復活! YouTube“ネトフリ化”でタレント、テレビはどうなる!?

YouTubeの裏方は人材不足

白武  ただ、タレントの場合は課題も多いですね。例えば芸人が自分たちのチャンネルでやろうってなったときに、事務所が「じゃあこのチームでやりましょう」って提案できるチームやスタッフがいないんですよ。だいたい今までだったら単独ライブを作っていたチームでYouTubeをやればいいってことなんですけど、YouTubeのノウハウがわかっているスタッフがいないとできない。現状は人材不足です。僕とか長崎くんとかが、たまたまテレビとYouTubeの谷間の世代なので、通訳者として呼ばれることも多くなってきました。今は、とにかくYouTubeっぽい編集ができる編集ディレクターの人材が足りていないです。

長崎 必ずしも超優秀なテレビディレクターが編集すれば面白くなるってわけではないですもんね。

白武 マナーが違うんでね。

長崎 だから、YouTubeもできるフリーのディレクターさんだったり、そういう人材を抱えている会社は、めちゃくちゃ儲かると思います。単価で言うと、ぶっちゃけ今はたぶんYouTubeのほうがいいんじゃないかな。僕ら放送作家の仕事も、タレントのYouTubeを担当する仕事が増えてくると思いますが、タレントがノウハウのない制作会社や放送作家に頼んで、テレビの感覚で企画編集をするのは本当にまずい。結果伸びなくて、全体的な見え方として芸能人はYouTubeで通用しないといったイメージを植えつけられると最悪ですよね。カジサックさんとオリラジの中田さんだけが特別っていう。

白武 確かに、それはちょっと困ってしまいますね。

長崎 タレントの格を下げることにもつながるし。仲のいい、気心の知れたディレクターとやりたいって気持ちはわかるんですけど、それだと数字はついてこないことが往々にしてある気がします。

白武 ただ、これまではカチッとしたテレビっぽい編集は嫌われる傾向にありましたが、もしかしたらYouTubeのお客さんがテレビっぽさやハイクオリティーを求めていく可能性もあるので、流れを読んで臨機応変に対応しないといけないですね。

長崎 いま企業がスポンサーになるチャンネルもボコボコ立ってきていて、“YouTubeを始めたいけど、どうやったらいいのかわからない”って、僕のところにも相談の話がきたりするんですけど、やっぱり演者とスタッフの間に温度差は感じますね。

白武 企業側も、YouTubeが広告ツールとして機能するという認識はあるけど、YouTubeの良いところを生かせていない。まだ使いこなせている人というのは少ないですね。チャンネルに人格を宿すということが、とにかく難しい。企業チャンネルの成功例って、まだあんまりないんですよ。何度も言ってますが、YouTubeは人についてくるメディアなんで、企業がポンと「番組作りました」っていっても、そこに人が見えない。お金をかけて作っても、数千回しか再生されないってザラにある。YouTubeは誰が出てるかも大事ですが、誰がつくっているのかというのが見えたほうがいいかもしれません。

長崎 あと、YouTubeで“番組”を作るのも難しいですね。人格がないので、そこに数字がついてくるかはわからない。

白武 たとえば特番とか、『ドキュメンタル』みたいに5本とかだったら熱狂を作れますが、レギュラーでずっとやるのはなかなか厳しい。

長崎 動画の出し方も重要。出すなら、5本一気出しがいい気がします。毎週固定曜日に投稿とかだと視聴者は待ってくれないし、Netflixみたいに時間ある時に一気に見切れちゃう感じで。

白武 今後の話でいうと、テレビがYouTubeに動画を落とすかどうかですね。いま、『ちびまる子ちゃん』や『ルパン三世』といった国民的アニメの昔の回はYouTubeでも見られるようになったし、民放各局はニュースの切り出しをそれぞれのYouTubeチャンネルに上げていて、N国の話題とか急上昇に入ることもある。ドラマでは、日テレの『3年A組』がYouTube限定動画を配信してバズっていました。とにかく今、YouTubeにはめちゃくちゃ人がいる状態なので、本当はなるべく落とせたらいいと思うんですけどね。

長崎 YouTubeに落とした結果、「3年A組ダンス」や『あなたの番です』の考察みたいに、連鎖的な爆発が起きれば最高ですね。ただ、テレビの広告モデルはYouTubeに落とす前提でできてないんで、それをガラッと変えようと思うと、いろんな交通整理が必要になってくる。

白武 そういう意味でも、TVerは革命ですね。若い子たちはテレビじゃなくてTVerを見ている人も多いですよね。TVerの使いやすさが、今後のテレビ界にとってとても重要だと思います。

※「超YouTube学」バックナンバーはこちらから

●しらたけ・ときお(@TOKIOCOM

▼放送作家▼1990年京都府生まれ▼「しもふりチューブ」毎日18時投稿▼担当番組:「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!絶対に笑ってはいけないシリーズ」「Aマッソのゲラニチョビ」「みんなのかが屋」▼お仕事と仲間を募集しております。お気軽にご連絡ください!【Mail】tokiocpu@gmail.com

●ながさき・しゅうせい(@shuuuuuusei

▼1991年生まれ神戸出身・放送作家▼芸人、テレビ制作会社勤務を経て放送作家に。テレビを中心に活動しながら、昨年「フワちゃんTV」(現在登録者数約31万人)/「フワちゃんFLIX」(現在登録者数約9万人) を開設▼担当番組:「ZIP!」「アオハル TV」「ドラえもん」「サムライバスターズ」「勝負の冬」など▼その他:広告案件、YouTubeチャンネルコンサルティング▼お仕事のご相談はMailかDMでどうぞ!【Mail】shusei6308@gmail.com

最終更新:2019/10/30 18:00
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