日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 女優の花道  > 波瑠、いくえみ綾作品にハマるワケ
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

『G線上のあなたと私』波瑠がいくえみ綾作品にハマるワケ

文=成馬零一

ホリ・エージェンシーオフィシャルHPより

 火曜夜10時から放送されている『G線上のあなたと私』(TBS系)は、いくえみ綾の同名漫画をドラマ化したものだ。

 27歳の元OL小暮也映子(波瑠)、19歳の大学生・加瀬理人(中川大志)、46歳のパート主婦・北河幸恵(松下由樹)。大人向けバイオリン教室で同じクラスとなった3人は、発表会で演奏するために一緒に練習をしていく中で、世代を超えた絆を深める。

 脚本は安達奈緒子。『リッチマン、プアーウーマン』や『失恋ショコラティエ』といったフジテレビ系の月9ドラマを主戦場としていた安達だったが、昨年、NHKで執筆した医療ドラマ『透明なゆりかご』以降、その作家性が高く評価されるようになっている。今年は本作のほかにも『きのう、何食べた?』(テレビ東京系)、『サギデカ』(NHK)の2作の連ドラを執筆し、どちらも高い評価を獲得した。本作も原作漫画の魅力をしっかり押さえながらも、エピソードや台詞を膨らませた、とても見応えのあるドラマとなっている。

 何より、メインの3人が魅力的だ。理人を演じる中川は、いくえみが描くかっこいい男、通称・いくえみ男子のたたずまいそのままで、幸恵を演じる松下は、原作以上に生々しく40代の主婦を演じている。何より、也映子を演じる波瑠が素晴らしい。

 婚約間近だった恋人に振られ、会社も辞めてしまった也映子は、ショッピングモールで聴いた「G線上のアリア」のバイオリン演奏に感動し、音楽教室に通い始める。劇中では失恋を忘れるために演奏に没頭する一方で、新しい仕事を探したり婚活をしたりするのだが、そのすべてが中途半端というさえない日々を送っている。

 だが、一方で年下の理人とは友達以上恋人未満の関係で、憎まれ口を叩き合いながらも、信頼関係が生まれつつある。実に見事なのは、2人が恋愛関係になりそうでなかなかならないところで毎週エンドクレジットが流れ、理人と也映子の関係が盛り上がるドキドキシーンを入れてくる展開。

 このあたり、原作以上にサービス過剰だが、その俗っぽさがドラマの良さにつながっている。2人がくっつくのかどうかを楽しむこともできる一方で、それぞれの世代の男女の悩みを丁寧に拾い上げながら、単純なカタルシスに持っていかない、どっちつかずのふわふわした感触がいくえみ作品の魅力で、この感触が成立するのは、中心に波瑠がいるからだろう。

 波瑠がいくえみ作品の映像化に挑むのは同枠で放送された『あなたのことはそれほど』以来で、当時は初恋の人と不倫をしても罪の意識をまったく感じていない主婦を演じ、物議を呼んだ。ドラマ版は最終的に異常な夫が暴走する不倫サスペンスに振り切ったせいで、繊細な内面描写がウリのいくえみ作品とは別モノとなってしまったが、波瑠主演で再びドラマ化されるということは、いくえみは好意的だったのだろう。

 それはおそらく波瑠の持つ冷静でさめた空気感が、自身の作風とシンクロしていると感じたからではないかと思う。

12

『G線上のあなたと私』波瑠がいくえみ綾作品にハマるワケのページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店すべて見る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

【PR】DYM・水谷佑毅社長の野望とは?

医師免許を持つ、ベンチャー経営者の異色の半生!
写真
特集

『鬼滅の刃』はジブリ超え大ヒットになるか?

アニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の興収が公開10日間で100億円突破で『千と千尋の神隠し』超え!?
写真
人気連載

『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』レビュー

「この映画は大音量で上映すべし」  ...…
写真
インタビュー

瓜田純士「人生3回目の花が咲く?」

 東京五輪イヤーが幕を開け、日本は果たしてどう変わるのか? 千里眼とプロファイル力を...
写真