本多圭の「芸能界・今昔・裏・レポート」

NHKが狙うインターネット常時同時配信で、「スマホ依存の若者」から受信料を一斉徴収の野望

NHK放送センター

 先月15日、NHKがテレビ番組をインターネットで常時同時配信できるよう、総務省に認可申請していたインターネット活用業務実施基準の変更案。日本民間放送連盟(民放連)は、「NHKの肥大化」への懸念を表明していたが、11月8日、総務省はNHK案に対して修正の検討を要求。実現に“待った“をかけた。

「NHKの上田良一会長は、今年から『NHK紅白歌合戦』の同時配信を実現したいという意向を持ってましたからね。ところが、歌手たちの主な活動の場でもある民放連が、これに猛反発していた。今回、総務省がこれまで以上のNHKの業務の肥大化を懸念し、待ったをかけたことで民放連はホッとしてますよ」(在京の民放関係者)

予算が莫大すぎて、実現に踏み切れない民放各局

 NHKのテレビ番組を、放送と同時にインターネットに常時配信を可能にする改正法案が国会で可決されたのが5月9日。法案は民放局にも適用されるが、予算が莫大すぎて、実現に踏み切れない民放各局は、これによってNHKが“ひとり勝ち”するのではないかと警戒。総務省も、民放の危機感を受けて、NHKのネット業務の費用は受信料収入の2.5%以下にするという基準を設けた。

「受信料で年間7,000億円規模の安定的な収入があるNHKには、2.5%以下といっても、推定で175億円の投資額がある。NHKの同時配信の目的は、受信料の取りこぼしをなくすこと。特にパソコンやスマホに依存する若者たちからの受信料徴収です。彼らを惹きつけるためなら制作費に糸目はつけない。民放では太刀打ちできませんよ」(番組制作会社スタッフ)

 8月には、民放連として総務省に「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備に対する意見」を提出し、「市場の競争を棄損しない規模に留める」ことを求めていたが、NHKは10月15日、インターネット活用業務実施基準の変更案の認可を申請した。

 その案でNHKは、インターネット活用業務のうち、常時同時配信等を含む「基本的業務」の費用上限を「受信料収入の2.5%」としながら、それとは別に「放送法上の努力義務に係る取り組み」の費用上限を28億円、「ユニバーサル・サービスに係る取り組み」の費用上限を7億円、「国際インターネット活用業務への取り組み」の費用上限を35億円、「オリンピック・パラリンピック東京大会に係る取り組み」の費用上限を20億円と、個別に設定することを求めたという。

「概算すれば、受信料収入の2.5%を超え、3.8%に膨らんでいる。NHKが同時配信事業を野放図に拡大すれば、ますます肥大化して、メディア全体の競争を歪めることになる。民放連はNHK案に、さらに反発を強めていますよ」(前出の在京の民放関係者)

 総務省がNHKに対して変更案の再検討を求めたことで、とりあえず今年の紅白の同時配信はほぼ不可能になったといえるが、NHKが“なにがなんでも同時配信を実現させる”という野望を捨てない限り、大幅な見直しは期待できないだろう。

 メディア全体の競争を歪めないためにも、民放連の反撃に期待したい。

最終更新:2019/11/25 12:00
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