日刊サイゾー トップ > 社会 > メディア  > 東海テレビが捉えた報道の自画像
東海テレビ『さよならテレビ』映画化記念インタビュー前編

テレビは本当に「終わって」いるのか? 東海テレビ自ら現場に切り込むテレビ報道の“自画像”

文=日刊サイゾー編集部(@cyzo

澤村記者の本当の姿はそう簡単に解釈できない

──その澤村記者のシーン、私もかなり気になったんですよ。「今のテレビは大切なものを伝えていないのではないか」と問題意識を投げかける、ジャーナリスト意識が高い澤村記者が、ものすごく熱く語っているのに、映像では本人ではなく執拗なまでに部屋の本棚にずらっと並ぶ、ドキュメンタリ関連の新書が並ぶ様子を映し続けていたのが印象的でした。

阿武野 あれ実は、ロケ用のセットなんです。

──ええええええ!?!?

阿武野 ……と、言うと、みんな「ほーっ」て、信じてしまう(笑)。

──え、あ、ちがうんですね、ほんとに? ちがうんだ、良かった……いや本当に、本当に信じかけましたからね?(笑)。「やだこれ人に言えないじゃん」と思ってしまいましたよ。ああびっくりしました。……一応念の為確認しますけど本当にセットじゃないんですよね?

阿武野 (笑)。それくらい、どこが現実で、どこがフィクションなのかわからなくなってしまうんでしょうね。それこそ、製作者の術中ですよ。

──正直なところ、あの本棚に並ぶ本をずっと見ているうちに、澤村さんは魂を持って行動する真のジャーナリストなのか、それとも、ジャーナリズムの本をひたすら読んでいるだけのジャーナリストに憧れているだけのサラリーマンなのか、どちらなんだろうかと不安を覚えたんですよね……。

阿武野 そうなんです。あの本棚の並びを見て「あんなに様々な本を読んでいる、澤村記者は素晴らしいジャーナリストだ」と感じる人もいました。一方、映像の中には「このネタは今行かないとだめですよ」と圡方にけしかけられ、煮え切らない部分も描かれています。反発しながらも、しっかりドキュメンタリー制作に協力しているシーンも出てくる。澤村記者の本当の姿は、そう簡単に解釈できません。私たち製作者が思う以上に、いろんな見方をされるんだなとも感じました。

 ただ、澤村記者が勉強家であることは確かです。今のテレビ局の記者はあんなに勉強してません。そもそもあの映像に写っている本は、彼の蔵書の本のごく一部だそうです。実に勉強家です。

圡方 僕は澤村記者と話していて「こんなに勉強しているのか」と驚いた方なんです。確かに、映像に写っている本の傾向はイデオロギー的に偏っているように思えますが、彼は、内容はもちろんその背景までをもしっかりと読み込んでいます。右であれ左であれ、あれだけ本を読んでいるテレビマンはあまり見かけません。「事件をどのように報じるべきか?」「メディアはどうあるべきか?」「自分は事件から何を感じているのか?」といった、メディアの倫理を考えて仕事に取り組んでいる人は、今のテレビの世界には少なくなっているんじゃないでしょうか。自分の意見があるというか。もっと上の世代にはいたのかもしれないのですが。

 自分を含め、最近のテレビの人間は「どうやったら見てもらえるか」あるいは、もっと消極的に「どうやったら叩かれないか」と、受け手の反応だけを過剰に意識して制作している人が少なくありません。映像の中にあるように、澤村記者から「テレビの闇はもっと深いのではないか?」と問われて、自分自身も答えられませんでしたからね。

──あれは、本当に言い淀んでいたんですね。「相手の反応をもっと引き出すために敢えて答えない」という手法なのかととらえてしまっていました。実は「ここで黙って更に言わせようとするのはちょっと意地悪だなー」とまで思っていたんですが、考えすぎだったんですね(笑)。そんな、言い淀んでしまった部分を、あえてカットせずに使ったのはなぜでしょうか?

圡方 え、そんな見方をされてたんですね。面白い。あれはもう、本当に答えられなかっただけですよね。意見を持っているという段階で、澤村記者を単純に凄いと思っていました。情けない姿ではありますが、僕自身もまた東海テレビの社員であり、報道局に所属しているメンバーであり、ドキュメンタリーの取材対象の1つなんですよね。そういう意味で、典型的なテレビ局社員の姿として「答えられない」姿を残したほうがいいなと。

1234

テレビは本当に「終わって」いるのか? 東海テレビ自ら現場に切り込むテレビ報道の“自画像”のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

[呂布カルマ]ゲオの骨伝導ワイヤレスイヤホン体験インタビュー

グラビアディガーが○○鑑賞中の“まさか!?”を回避できる骨伝導ワイヤレスイヤホン
写真
特集

冬ドラマに注目!

フジ月9、2作連続で好調の日テレ水10、方向転換?のTBS火10……冬ドラマ特集
写真
人気連載

紅白が“高齢者切り捨て”で迎えた断末魔…

 例年、日本テレビ系の裏番組『ダウンタウンの...…
写真
インタビュー

舐達麻コンプラ無視の“超”大麻論

──ここ数年、日本でもっとも話題のラッパーといえば、舐達麻の3人をおいてほかにはいない。...
写真