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ずさんな白タク解禁で懸念も!? 経済同友会の“日本版ライドシェア”構想の微妙な中身

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 経済団体が“白タク”を要望――?

 日本経済団体連合会、日本商工会議所と並ぶ「経済三団体」のひとつ「経済同友会」が1月22日、『「日本版ライドシェア」の速やかな実現を求める』意見書を公表した。この構想は一般ドライバーがタクシー営業を行うため、“事実上の白タク”となりそうだ。

 タクシーや乗合バスなど営業用車両はクルマのナンバープレートが“緑”だが、営業行為が認められていない自家用車はナンバープレートが“白”のため、自家用車でタクシーとして営業活動を行うことを“白タク”と呼び、もちろん違法行為だ。

 今回、経済同友会がこの意見書をまとめた背景には、政府のシェアリング・エコノミーに対する考え方がある。政府は2019年6月の「成長戦略実行計画」で「自家用車を用いて提供する有償での旅客の運送については、利用者の視点に立ち、現在の制度を利用しやすくするための見直しが必要である」とした。

 タクシー業界もご多分に漏れず、少子高齢化の影響と働き方改革により、“運転者不足”となっている。その上、路線バスの廃止が急速に進んでおり、バスの代替交通手段として、また、インバウンドの拡大により需要が増加している。

 タクシー事業は2002年の改正道路運送法が施行された時に免許制から原則許可制となり、事業者の新規参入や車両数の増減が届け出のみで可能になった。この結果、大都市では新規参入事業者が増加し、1台当たりの売り上げが急減、運転者の年間所得も減少した。

 結局、09年にはタクシー事業適正化・活性化特別措置法が施行され、供給過剰に陥った地域を特定地域に指定し、この域内は増車と新規参入が許可制となった。14年にも改正タクシー事業適正化・活性化特別措置法が施行され、指定された地域内での新規参入は禁止となっている。

 一方で、過疎地域などバス・事業者によるサービスの提供が困難な地域については、地域の関係者による協議を経て道路運送法に基づく登録を受け、必要な安全上の措置をとった上で、市町村やNPO法人等が自家用車を用いて提供する運送サービス「自家用有償旅客運送制度」が認められている。しかし、運転者不足や地域の関係者の合意が得られず、この制度はほとんど導入されていない。

 そこで、経済同友会は「日本版ライドシェア」構想をまとめた。同構想は、「都心部においては一時的にタクシー需要が増大する通勤時間帯に限り、恒常的にタクシーの供給が不足している地方都市等においては、需給バランスを崩さない範囲で、タクシー事業者による第一種運転免許保有者および自家用車の活用を解禁する」というものだ。

 同構想のメリットについて経済同友会は、①需要が供給を上回る時間帯に限って一般ドライバーによる有償旅客運送を認めるため、供給過剰の状態が継続することがないほか、 ドライバーにとっても有償旅客運送はあくまで副業にとどまる②運行時間が限定されているため、長時間運行による運転への悪影響は発生しない③安全運行を第一とするタクシー事業者が運行主体となるため、研修・車両管理等に責任を負う半面、売上は既存事業者の収益につながる④情報通信技術を用いた相互評価制度や顔認証制度等を導入し、安心・安全の担保とサービスの質向上を図る、としている。

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