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【シリーズ】「読解力低下」騒動のウソとホント(3)

「読解力低下」騒動のウソとホント(3)学校にタブレット配布を構想する文科省の思惑

文=飯田一史(いいだ・いちし)

「児童生徒1人1台コンピュータ」を目指す文科省の“GIGAスクール構想”とは――。(写真:Getty Images)

 昨年末あたりから、日本の子どもの読解力が低下していると話題になっている。その原因について「最近の子どもは本を読まないからだ」などとメディアや見識者は騒ぎ立ているが、実はどれも的外れな議論かもしれない――。『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)などの著者で、子どもの本をめぐる事情に詳しいライターの飯田一史氏が、5回にわたるシリーズで読解力問題の実態をえぐり出す!

【シリーズ】「読解力低下」騒動のウソとホント(1) 解消されている“子どもの本離れ”

【シリーズ】「読解力低下」騒動のウソとホント(2) 大学入試改革とマスコミ批判の歪んだ構図

◇ ◇ ◇

 OECD(経済協力開発機構)が義務教育修了段階の15歳を対象に行う国際学力調査PISA(Programme for International Student Assessment)において、日本は“読解力”ランキングで2012年には1位だったが、15年には6位、18年には過去最低の11位へと下落して話題になった(すべてOECD加盟国中の順位)。

 文科省は読解力低下への対策として、「児童生徒1人1台コンピュータ」を実現する“GIGAスクール構想”をぶち上げている。意味がわからない人も少なくないだろう。一体、読解力とコンピューターに何の関係があるのか?

文科省が対策を講じたのに落ちた読解力ランキング

 本シリーズの初回と第2回でそれぞれ、文科省がPISA読解力スコア・ランキングを上げるために行った2つのことを紹介した。

 ひとつは読書推進政策。もうひとつは論述式問題への対策につながる教育改革(記述式重視の大学入試改革、探求型学習の導入)である。これらを2000年代以降、手を緩めずやってきたにもかかわらず、先にも述べたとおり15年、18年で日本の読解力ランキングは落ちた。

 この点に関してさまざまな議論が巻き起こったが、文科省の“中の人”の見解はいかなるものだったか?

 文科省が発行する「初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)」第373号(19年12月24日配信)に寄せられた「【矢野 文部科学省大臣官房審議官(初中教育担当) 特別寄稿】PISA調査2018とGIGAスクール構想」を見てみよう。

 事実関係以外の主観的な表現は個人的な見解であり、文科省の方針とは必ずしもイコールではない、と断りながらも、この記事は以下のように理由をまとめている。

 PISAでは、15年に初めてPC使用型調査が導入され、18年調査で本格的なものになった。

 15年調査は単純にPCを使っただけで、本や新聞など出所や校正・校閲がしっかりした書きものの中から「情報を探し出す」「字句の意味を理解する」「統合し、推論を創出する」「内容と形式について熟考する」といったことを問う、従来型のPISA型読解力を問うものだった――が、日本の子どもは不慣れであったためにランキングが落ちた。

 さらに18年調査では、オンライン上のブログや投稿文、宣伝サイト、メール文などについて、「質と信ぴょう性を評価したり」「矛盾を見つけ対処したりする」ことも求め、問題自体もその7割がPC使用型調査のために開発された新規のものとなった。

 要するに、15年までとは大きく変化し、フェイクニュースがはびこる時代に対応する“情報活用能力”をも求めるようになった。

 ところが、日本の子どもはOECD諸国に比してデジタルデバイスを、ゲームをはじめとする遊びには多く使っているものの、「宿題をする」「学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る」「関連資料を見つけるために授業後にインターネットを閲覧する」といった学習に使用する人の割合が非常に少なかった。

 かように、日本では子どもに対するPCなどの端末整備、活用状況、ネットワーク整備がOECD各国に比べて非常に不十分で、デジタルデバイスの活用法が家庭や学校であまり教えられていないがために、十分な回答ができなかった。

 結果、読解力スコアが著しく低く出たというのが調査の“きも”だ――と矢野和彦審議官は主張する。

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