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『ドキュメント72時間』が密着したヤンキー・インターンはブラック企業戦士の育成所?

ブラック企業を視野に入れた再教育カリキュラム?

「ヤンキーが更生する」というストーリーに拒否反応を示す人が多いのは知っている。頑張ってマイナスの状態をプラスに持っていった者より、己を律して最初からプラスを維持した者のほうが偉い。その理屈はわかる。

 でも、若気の至りや救いのない環境によって反社の道に突き進むより、与えられたチャンスを生かして踏みとどまったほうが健全だと思うのだ。若者たちの姿を見ていると、変わろうと必死なのも伝わってくる。今や、ヤンキー先生が法務副大臣になる時代。人生をやり直す元ヤンが何人いたっていいはずである。

 そんなふうに思っていたら、ある参加者が笑顔でこんなことを語っていた。 

「(学生時代の写真を見せ)消火器をまいたときです。高2ですね。あれ、中身はピンクなんですよ。知らないですよね? 自由に生きていきたいと思ったんで、消火器もまきたかったらまくし。そんな悪い人間じゃないんですよ? 物を盗むだとかそんなんじゃないんですけど、消火器はまきたかったからまいたみたいな。で、結局、中身ピンクやったみたいな(笑)」

 自慢気に過去の武勇伝を披露する、あまりに元ヤンな若者。悪いことをした自覚はないようだ。君はもうちょっと罪悪感を覚えたほうがいいな……。

 全力朝礼といい、消火器の件といい、ヤンキーのノリから抜け出すのはなかなか難しそうだ。そもそもフレックスやテレワークが導入されるホワイト企業からすれば、朝礼そのものが時代遅れだし。

 ブラック企業戦士を生み出しそうなカリキュラムから巣立ち、ブラック企業へ旅立っていく若者たち。将来に不安を覚えた彼らは、本当に“豊かな生活”を送ることができるのだろうか? 

 希望に満ちた今の彼らしか知らないだけに、ヤンキー・インターンの3年後を追う続編を見てみたいと思った。

火の車(ライター)

東京都出身。以前はテレビ業界で働いていた40代のライター。現在は主にバラエティ番組について執筆している。

ひのくるま

最終更新:2020/03/05 14:00
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