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歌舞伎町案内人・李小牧氏が警告「アフターコロナは反社が跋扈する街に……」

ウイルス禍以前の歌舞伎町と李氏。歌舞伎町に元のにぎわいが戻るのは、いつのことだろうか?

<※前編はこちらから>

 前回(参照記事)、歌舞伎町案内人の李小牧氏が、新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う緊急事態宣言の影響について明かしてくれたが、その打撃は夜の店以外にも及んでいる。

「民泊業者も大打撃を受けています。歌舞伎町周辺で民泊を運営している業者の多くは、中国人旅行者が増加していたことや東京オリンピックが開催される予定だったこともあり、法人・個人業者を問わず、マンションを購入したり、部屋を借り上げ、民泊用物件にしていました。ところが、新型コロナウイルス騒動が発生したことで、1月頃から宿泊キャンセルが相次ぎ、現在の稼働率はほぼゼロとなってしまった。

 返金対応はもちろん、購入・賃貸した民泊物件のローンや賃料は支払い続けなくてはいけません。来年まで生き残れるのは、資金によほど余裕のある大手くらいではないでしょうか。私の友人は民泊業界で働いていましたが、仕事もなくなってしまい、今はウーバーイーツで配達のアルバイトをして生計を立てていますよ。今後は、民泊業者の倒産が急増していくと思います」(李氏)

 一方、ほかの多くの業種同様、キャバクラや風俗店など夜の街のビジネスにも営業自粛が要請された。賛否の声もあるものの、政府はキャバクラ嬢や風俗嬢なども休業補償の対象とすることを表明している。

 しかし、李氏は、夜の街で生きる人々に十分な救済が行われるかどうかを危惧しているという。

「私が歌舞伎町で経営しているレストランについては、日本政策金融公庫から運よく当面の支援を受けることができました。ただ、申請には過去2年の財務諸表の提出を行う必要があり、手続きは煩雑だった。歌舞伎町で飲食店や民泊事業を行う事業者の中には、税理士をつけていなかったり、帳簿をずさんに管理している経営者も少なくありません。本人に非があると言えばそれもそうですが、こうした事業者は、助成金の申請を行うことも難しいですし、受理される可能性も低い。

 世間的にも『キャバクラや風俗店は反社とつながっている』というイメージがあり、行政や公的機関は、救済措置の認定に慎重にならざるを得ないのでしょう。また、キャバクラ嬢や風俗嬢を含め、夜の世界の人々は貯蓄がほとんどなく、その日暮らしの人が極めて多い。迅速に補償金が支給されなければ、明日住むところや食べるものにも困るという状況も容易に想像できます。行政は職業によって補償の対象を決めるのではなく、人道主義的視点に立って補償を行ってほしい」

 こうした李氏の願いは、歌舞伎町や夜の世界への愛着もその動機のひとつだが、それだけではないという。

「夜の街で働く人の中には、さまざまな事情を抱えてギリギリの生活を余儀なくされている社会的弱者も多く、彼ら彼女らの救済が十分に行われないと、自殺者数の増加に直結することになると心配しています。また、私が見る限り、今の歌舞伎町では、風俗店やキャバクラ店も含め、ほとんどのお店は法律を守り、社会秩序に則って営業している。しかし、そうした健全な店も経営が苦しくなってくると、生き残りをかけてボッタクリ店に変わったり、違法な営業を始めたりする可能性もある。または、潰れた店の後に反社会的勢力が入り込んでくることも想定されます。こうした状況は、来年五輪を控える東京や日本にとって望ましいものではないと思います」

 そして李氏は、歌舞伎町からも仰ぎ見ることができる都庁に向かってこう言った。

「小池都知事にはぜひ、歌舞伎町へ直接現状を見に来てほしい。その際には、この私がご案内させていただきます」

 

李小牧(歌舞伎町案内人)

1960年中国湖南省長沙市生まれ。88年に私費留学生として来日し、東京モード学園に通いながら「歌舞伎町案内人」として活動を開始。2002年『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーに。15年に日本国籍を取得し、同年と19年の新宿区議会選に出馬するも落選。政界への挑戦は、ドキュメンタリー映画『選挙に出たい』として公開。

Twitter:@leekomaki

りこまき

最終更新:2020/04/14 20:00
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