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新型コロナ感染公表のトム・ハンクスが電撃復活! 最前線で働く人々への感謝に米国民が安堵

文=Saku Yanagawa(サク・ヤナガワ)

イメージ画像/出典:makoto.h

 3月に新型コロナウイルスへの感染を公表した俳優のトム・ハンクスがNBCの人気番組『サタデー・ナイト・ライブ』で4月11日、電撃復帰を果たした。トム・ハンクスはオーストラリアでの映画撮影中に体調不良を訴え、検査の結果陽性が確認された。同じく陽性反応のあった妻と入院ののち自宅隔離を続けていた。

 アメリカ国内ではコロナの感染が拡大する中、すべてのコメディ番組のスタジオ収録が中止となっており、『サタデー・ナイト・ライブ』も放送開始以来ニューヨークのスタジオでの生放送を続けてきたが、45年の歴史で初めてキャスト全員が自宅からそれぞれ撮影したビデオを送り、それを編集し放送するというまさに異例の事態となっている。

 通常、番組はコメディアンの「ライブ・フロム・ニューヨーク! イッツ・サタデーナイト」という決め台詞から始まるが、この日はレギュラーコメディアンたちが各々の自宅からビデオ会議アプリ「ズーム」を用い、ケイト・マッキノンの「ライブ・フロム・ズーム! It’s sometime between March and August(3月から8月の間のどこか)」というタイトルコールで幕を開けた。

 ニューヨークをはじめアメリカのほぼすべての都市で外出禁止令が出て、1カ月がたとうとしている。自宅で過ごす時間が長すぎるあまり曜日や日付の感覚が麻痺してしまっている状況を捉えてのセリフは、常に世相をジョークにしてきたこの番組らしい。

 冒頭、ホストとして登場したトム・ハンクスは自宅からモノローグを行なった。普段なら満杯の観客に迎えられ、ジョークにも「笑い」という反応があるのに対し、キッチンで一台のカメラに向かって話すしかない彼は実にやりにくそう。それでも1カ月ぶりにスーツを着た話やオーストラリアでのエピソードなどで難なく熟練ぶりを魅せつけると、最後は最前線で働く人々への感謝を述べ締めくくった。

 番組はレギュラーコメディアンたちによる、自宅からできる最大限のクリエイティブなスケッチ(コント)を、趣向を凝らし届けようという姿勢は見えたが、やはり従来の作り込まれたスタジオでの作品と比べると寂しいものがあった。一部のコーナーでは、サウンド効果を用い、笑い声を演出していたが、改めてコメディには生の反応が必要だと感じさせられた。そしてスタッフを含めた多くの作り手でひとつのショーが創られていることも。

 この『サタデー・ナイト・ライブ』だけでなく、多くのコメディ番組が”At Home Edition“、つまり出演者の自宅からという形で放送を再開している。

 夜の帯番組CBSの『レイト・ショー』ではホストのスティーヴン・コルベアが絶好調だし、『トゥナイトショー』のジミー・ファロンも絶えず声を届けている。共通しているのは、このような事態の中で「共に戦おう」というメッセージを発信していることだ。コメディアンはもちろん、メディアもこのコロナの時期に何ができるのかを模索しているように見える。

 ついにアメリカ国内の感染者数は70万人に迫り、未だ終息の兆しは見えないが、アメリカにおいて著名人で最も早くコロナへの感染を公表したトム・ハンクスが見事にそれを克服した姿は視聴者にひとすじの勇気を与えたに違いない。

Saku Yanagawa(サク・ヤナガワ)

Saku Yanagawa(サク・ヤナガワ)

アメリカ、シカゴを拠点に活動するスタンダップコメディアン。これまでヨーロッパ、アフリカなど10カ国以上で公演を行う。シアトルやボストン、ロサンゼルスのコメディ大会に出場し、日本人初の入賞を果たしたほか、全米でヘッドライナーとしてツアー公演。日本ではフジロックにも出演。2021年フォーブス・アジアの選ぶ「世界を変える30歳以下の30人」に選出。アメリカの新聞で“Rising Star of Comedy”と称される。大阪大学文学部、演劇学・音楽学専修卒業。自著『Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!』(産業編集センター)が発売中。

Instagram:@saku_yanagawa

【Saku YanagawaのYouTubeチャンネル】

最終更新:2020/04/20 10:00

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