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女性用風俗「東京秘密基地」がセックス情報商材を販売!「セフレを量産」「イカせまくり」にユーザーもドン引き

「心をイカせる」が店のコンセプトだが…

 また、このランディングページには「過去のセラピストもみんな同様の講習を受講している」とあるが、筆者も何度か秘密基地を利用し、セラピストを何人か指名した経験がある。その時に興味本位から、技術についての質問をしたときは「講習は小一時間もない」「接客手順は教えてもらったが、その他は独学」という者が大半だった。全員がつかなくていい嘘をついている可能性は考えにくい。

 そんな背景があるためか、SNS上でも「運営と自分の意志は別」「お客様に不安を与えて申し訳ない」など、不信感や違和感を表明する所属セラピストも散見された。

 加えて、このランディングページのテキスト自体、別のセックス情報商材剽窃疑惑もあり、とにかくツッコミどころ満載というか、ツッコミどころしかないのだが、多くの女性客やセラピストたちが難色を示しているのは、文面のアホらしさや商材のずさんさよりは、女性の人格を尊重せずに、「テクニックで意のままにできる」という、女性を単なる「モノ」として見ている内容である点だ。中でも、商材のサンプル動画で運営自らが「女性は本能的に性奴隷になりたがっている」と語るスクリーンショット画像も匿名掲示板やSNSで拡散されており、大きな批判を浴びている。

 さらに、この商材を購入することで、店舗セラピストへの登用も示唆されており、「こんな商材で学んだセラピストに接客されたくない」と、抵抗感を示す女性客も少なくはない。こうした老舗の「乱心」によって、業界の勢力図が変わる可能性すら出てきている。

 風俗を利用する女性たちは、「夫に性的対象と見られてない」「男性に免疫がない」といったコンプレックスから利用する者や、「お金を払った男性なら“痛いこと”をされない」という安心感を求めていたり、利用動機は(男性同様)さまざまだが、根底には「傷つくことなく、身体を預けたい(性欲を満たしたい)」という想いがあるのだと筆者は考える。それを踏みにじるようなアプローチは、反発を呼んで当然だ。

 この数年、女性用風俗が広がったのは、若年男性の収入減といった労働問題や、男性向けメイクや整形のカジュアル化による小綺麗なイケメンの増加などの文化的な側面といった、さまざまな要因が考えられるが、中でも「女性のニーズに寄り添った性的サービス」を確立させたことは大きい。東京秘密基地はそのようなイメージ作りに、大きく寄与してきた店舗であることは間違いない。それだけに今回の情報商材は、これまで積み上げてきた業界イメージを自ら台無しにしてしまうものではないだろうか。

 女性用風俗業界を追ったルポ『女性専用 快感と癒やしを「風俗」で買う女たち』(徳間書店)で、「東京秘密基地」のオーナー(本書では名前を出していないため、創業者と同一人物かは不明)は、「心をイカせる」が店のコンセプトだと語っていた。そのコンセプト、この商材のスタンスは全く正反対である。

「しょせん風俗、二枚舌は当たり前」と見る向きもあるが、女性用風俗は、女性が安心して利用できるものであってほしいと、いち利用客として切実に思うのだ。

北田あおい(ライター)

30代の兼業ライター。「wezzy」などで執筆。女性キャストと男性客中心の風俗業界議論を横目で眺める女風ユーザー。

きただあおい

最終更新:2020/05/14 13:00
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