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世界的大企業テンセントが詐欺師とハンコに騙された!? その大胆すぎる手口と稚拙な動機とは

中国最大手のラー油(捜狐)も巻き込まれた詐欺事件とは

 中国インターネット最大手・テンセント(騰訊)の躍進が止まらない。今年に入り、新型コロナ禍の混乱の中で株価の上昇を続けてきたテンセントは、時価総額でアリババを超え、現在約70兆円となっている。

 この好調ぶりは、いわゆる「ステイホーム」によって、ゲーム事業が好調となっていることが背景にある。日本でも同社の「王者栄耀(Honor of Kings)」などのスマホゲームは人気が高いことで知られている。

 しかしそんなテンセントだが、先日3人の詐欺グループにまんまと騙され被害を受けていたことが発覚した。

「捜狐網(7月1日付け)」は、3名の詐欺師がテンセント社を相手に詐欺行為を行い逮捕されたとを報じた。

 テンセント社は昨年4月、自社開発した人気レーシングアプリ“QQ飛車”の新たな広告スポンサーとして、食品大手・老乾媽(ラオガンマ)と契約したことを発表した。老乾媽は中国最大のラー油メーカーとして知られ、日本にも商品が輸出されている。

 しかし、老乾媽はテンセント側に対しスポンサーとして支払うべき広告費1600万元(約2億5000万円)の支払いを行わなかったという。そこで、テンセントは今年に入り、老乾媽に対し広告費の支払いを求め裁判を起こしていた。その結果、裁判所はテンセントの訴えを全面的に認め、老乾媽の一部資産を凍結し、老乾媽に対し広告費の支払いを命じる判決を下したのだ。

 ところがこれに対し、老乾媽側の反応は意外なものだった。

「テンセント社とスポンサー契約を行ったことはなく、判決は寝耳に水である。テンセントは詐欺被害に巻き込まれた可能性が高い」と公式声明を発表したのである。

 こうした事態を受け、公安局が捜査を開始したところ、3名の詐欺師の存在が浮上した。公安局によって逮捕されたのは、36歳の男、37歳の女、40歳の女の3名で、この3名は老乾媽の経理部門の幹部を装い、さらに同社の印鑑などを偽造し、なんとテンセントとの間でスポンサー契約を行なっていたのである。

事件に巻き込まれたテンセントの人気アプリ

 3名は犯行に及んだ理由について、当局の取り調べに「アプリゲームのスポンサーになれば、ゲームの有料アイテムなどを自由に利用できると思った。老乾媽の関係者を装いテンセントと契約し、有料アイテムをネットで転売するつもりだった」と供述しているという。

 世界TOP10に入る世界的大企業であるテンセントが、3人の詐欺師に騙され、裁判にまで発展した今回の事件は中国でも大々的に報じられている。今月9日、テンセント社と老乾媽社は共同声明を発表し、テンセントと老乾媽の間で和解が成立したことを明かした。

 新型コロナ禍においては、感染拡大防止策としてリモートワークに注目が集まったが、それを阻む弊害として、ハンコの存在がやり玉に挙げられた。しかし、そのハンコが原因で、パンデミックを追い風にさらに躍進する世界有数のハイテク企業がまんまと騙されてしまったこの一件は、皮肉というしかない。

廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)

明治大学卒業後、中国の重慶大学へ留学。メディア論を学び、帰国後は中国の社会問題についてウェブメディアを中心に執筆している。

ひろせだいすけ

最終更新:2020/07/17 14:00
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