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麒麟・川島の“上品”なコメント力「めちゃくちゃ手榴弾入れてるし、ナイフ入れてるし」

文=飲用てれび(いんよう・てれび)

麒麟・川島の上品なコメント力「めちゃくちゃ手榴弾入れてるし、ナイフ入れてるし」の画像1
麒麟・川島明Twitterより

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(7月26~8月1日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

バカリズム「才能が分散しちゃってる」

 少し前、バカリズムがある芸人を「戦力分析」していた。

「戦力分析すると、五角形の全部が高いんですよ。ホントだったらもっと早い段階で大物MCとしてバンバン活躍してる方なんですけど、パネラーとかも全部で需要があって。才能がたぶん分散しちゃってるんですよね」(『アメトーーク!』テレビ朝日系、2020年7月2日)

 テレビで芸人が活躍するために必要な「戦力」。バカリズムは具体的に語ってはいないけれど、たとえばそれは自分がボケて笑いを作る能力だったり、他の芸人が作った笑いをガヤで増幅させる能力だったりするのだろうか。ゲストを立てながらトークを回す能力だったり、番組の制作意図を汲んだコメントをする能力も含まれるのかもしれない。

 そんな「戦力」が、この芸人の場合はあらゆる面で高水準にある。それゆえにテレビ番組においてさまざまな立ち位置での仕事を振られ、メインMCとしての活躍が遅れてしまった。

 稀代のコント職人がそう評す芸人とは、麒麟の川島明だ。確かに、大喜利番組からワイドショーのコメンテーターまで活躍している芸人はそういない。オードリーの若林正恭は大喜利番組で優勝できても、ワイドショーの話題への興味の薄さからコメンテーターはたぶん務められない。たむらけんじはコメンテーターができても大喜利で勝ち上がれない。

 で、上のバカリズムの発言もそうなのだけれど、川島に対する評価が最近少しずつ共演者から語られてきている気がする。

 30日の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でも川島の名前が挙がった。この日の企画は芸人が他の芸人を褒める「芸人大好き芸人」。そこで中岡創一(ロッチ)は、スベった際に川島のコメントで助けられたエピソードを語り、徳井健太(平成ノブシコブシ)は川島の言動を「上品」「”俺が振ったった感”を全然出さない」と評した。品川祐(品川庄司)は川島のコメントの「汗をかいてない感じ」を、自身と比較しながら羨んだ。

 さらに博多大吉は、ひな壇での川島のコメントのスピードについて語る。

「同じひな壇にいると、たぶん一番速いんですよ、スピード。だから、一緒に居づらいときあるんですよね。何か起こった、さぁツッコもうかなってこっちが準備した瞬間、もういってるんですよ」

 脚本家としても活躍する多才なコント職人に「才能が分散しちゃってる」と脱帽させ、さまざまなゲストを迎え入れてきたNHKの朝の顔に「一緒に居づらい」と言わしめる。それが麒麟・川島だ。

麒麟・川島「ちょっと塩振ってあげると、より甘さが際立ったりしたり」

 確かに、川島のコメントの速さと的確さは尋常ではない。彼の低音ボイスは主旋律を支えるベース音のように、その場でメインになるべき人や話題を引き立てる。

 たとえば、ロケでデヴィ夫人と回転寿司屋を訪れたときのこと(『出川哲朗の恥の王様』TBS系、2020年5月12日)。いつもは2000円のマグロの寿司を食べているという夫人が、回転寿司はひと皿100円だと聞き驚くと、川島はすかさず次のようにコメントした。

「夫人がいつも食べてるお寿司の消費税より安いです」

 あらゆる方面で、これ以上ないコメントだろう。庶民とは違う水準で生きる夫人の感覚を、誰にも同じ水準でかかる消費税でわかりやすく表現する。お金や生活水準の話はときに下品になってしまうけれど、川島のコメントの上品さがそれを抑える。夫人も上機嫌だ。
 もちろん、彼のコメントにはセンスだけでなく準備もある。28日の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)で川島は、自分の転機となった『アメトーーク!』の「プレゼン大会」出演時のことを語っていた。

 川島は同企画への出演にあたり、「めちゃくちゃ繰(く)って繰って、頑張って頑張って」入念な準備を重ねたという。オードリー・若林が自身の「人見知り芸人」などへの出演を振り返り、「背負ってるバズーカーの数、ハンパないですよね」と共感すると、川島も「めちゃくちゃ手榴弾入れてるし、ナイフ入れてるし」と呼応した。

 川島は『アメトーーク!』での活躍を起点に、さまざまな番組に呼ばれるようになった。しかし彼は当時を「便利屋みたいになっちゃって、自分の中では」と振り返る。そんな「便利屋」とは違う角度から起用してくれたのが『ゴッドタン』(テレビ東京系)のプロデューサー、佐久間宣行だった。

「『ゴッドタン』で佐久間さんが、他の番組で僕と大吉先生が上品に振る舞ってる姿をみて、目の奥が笑ってない、真っ暗な闇属性の2人だからって、『上品芸人ハメ外しクラブ』っていうのをやって。僕ら2人を初めて主役にしていただいて、ひな壇でいつも我慢してることをバーン言ってくださいみたいな。それで爆発させてくれたおかげで、ちょっと過激派の番組にも呼んでもらえるようになった」

 若林が「佐久間さんには、(川島さんが)他の番組に出てるときも手榴弾でパンパンになってるのが見えるんですね」と語ると、川島は発言を重ねた。

「テレ東で全部爆発させられる」

 かつて、川島はこんなことを語っていた。

「ツッコミっていうのはボケを際立たせるもんですけど、ちょっと調味料に近いものはあるのかなと思いますね。素材だけでも十分おいしいけど、ちょっと塩振ってあげると、より甘さが際立ったりしたり」(『NHK俳句』NHK Eテレ、2019年7月14日)

 そのコメントは誰よりも速く的確。他の出演者を引き立てる上品さと、単独でも成立する爆発力を併せ持つ。川島のコメントは塩であり、手榴弾である。

飲用てれび(いんよう・てれび)

飲用てれび(いんよう・てれび)

関西在住のテレビウォッチャー。

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Twitter:@inyou_te

最終更新:2020/08/04 14:00

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