本多圭の「芸能界・今昔・裏・レポート」

市川猿之助、『半沢直樹』で脚光浴びる前、あの大物俳優に利用されていた黒歴史

『半沢直樹』(TBS公式サイトより)

 7年ぶりに放送され、話題を呼んでいる、TBS系人気ドラマ『半沢直樹』。新シリーズでは、堺雅人演じる主人公の半沢直樹を窮地に追い込む上司・伊佐山泰二役として、歌舞伎俳優の市川猿之助が新たに脚光を浴び、従兄弟の香川照之ともども、高視聴率の立役者と言われているが、その市川猿之助は、猿之助を襲名する前の市川亀治郎時代に、元アクション俳優の千葉真一に“利用”されていたことがあった。

 千葉は、1960年のデビュー後、自らスタントを演じる元祖アクションスターとして活躍。海外にも進出し、03年にはクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』にも出演したが、07年に俳優引退を発表。その後、京都市に俳優養成学校『サウザンリーブス ハリウッド京都』を開校したが、その直後に経営母体の会社の元代表で同校の実質的経営者であるMが、出資者6人から出資法違反容疑で刑事告訴されたうえ、生徒に体罰を加えていたことが明らかになった。

「そもそも同社は、不動産ファンドを組んで約15億円を集めたんですが、そのうちの8億円が消えていたんです。これを知った元総務部長が、“詐欺まがいの行為にこれ以上加担したくない”と出資者たちにファンドの実状を告発。出資者たちがMらを刑事告訴しました」(当時の関係者)

 09年1月には、「週刊文春」(文藝春秋)が同校を巡る千葉真一自身の金銭トラブルや生徒への体罰疑惑を報道。これを受け、千葉は記者会見を開き(ちなみに、千葉に頼まれて記者会見をセッテイングしたのは、“元祖リポーター”と呼ばれた故・梨元勝さんだった)、「記事は事実無根」と主張したうえ、会見場のマスコミに対して、「文春」に情報提供をしたと思しき人物への内容証明のコピーまで配布した。

「ところが、そこに書かれた住所が間違っていたんです。それを知らず、TBSの女性リポーターがその家を直撃。リポーターと揉み合いになった家の家族が怪我を負う“事件”が置きました」(マスコミ関係者)

 この一件では、マスコミに内容証明を配布した千葉サイドの弁護士も、個人情報を含む文書をマスコミに配布した責任を問われ、弁護士会に懲戒請求が出されるという騒動に発展した。

 結局、その後、同校は閉鎖されたが、このトラブル続きの学校の講師に名前を連ねていたのが、ハリウッドの巨匠・タランティーノと市川亀治郎(のちの猿之助)だった。

「千葉は、映画『キル・ビル』に出演したことでタランティーノ監督と、亀治郎とはNHK大河ドラマ『風林火山』で共演したことで親しくなったそうです。その縁で、亀治郎は学校の宣伝に名前を利用されていた。肖像やコメントは無断で使用されていたようですが、歌舞伎役者の亀治郎が講師ということで応募する生徒もいました」(前出の当時の関係者)

 千葉に利用されたものの、千葉周辺の怪しい状況を見かね、やがて距離を置いたという亀治郎だが、その判断は賢明だったのだろう、その後、猿之助を襲名。『半沢直樹』では、香川に続き、“顔芸”でテレビ俳優としてもブレークを果たしている。

 香川との“梨園コンビ”で、バラエティ番組のみならず、『M1-グランプリ』(テレビ朝日系)がゲスト出演者として担ぎ出しに動いているという情報もある猿之助。ただ、その後、千葉は何事もなかったかのごとく、最近では、新田真剣佑と真栄田郷敦の父親として露出しているだけに、くれぐれも、かつてのような“きな臭い”話には注意してほしいものだ。

本多圭(ジャーナリスト)

芸能取材歴40年以上、タブー知らずのベテランジャーナリスト。主な著書に『 スキャンダルにまみれた芸能界のトンデモない奴ら』など。

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最終更新:2020/09/03 10:00
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