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年末特別コラム【六代目山口組vs神戸山口組 2020】

なぜ、六代目山口組は神戸山口組を圧倒したのか? あまりに強固だったヤクザの秩序と盃の重み

絶縁された者が下す、絶縁処分の意味

 そのきっかけのひとつとなったのが、2017年に起きた、織田絆誠・現絆會会長らによる神戸山口組からの離脱だろう。当時、織田会長は神戸山口組の中核団体であった山健組の副組長という重職にあり、井上邦雄・神戸山口組組長の右腕とも呼ばれた人物だった。さまざまな困難を想定し、山口組を割って出て、新たな組織を存続させるという、これまで誰もなし得なかった不可能を可能にするために立ち上がったはずの神戸山口組だったが、発足から2年を持たずして、内紛ともいえる分裂が起きたのだ。

 この際、神戸山口組は織田会長らに対して、ヤクザ社会では最も重い絶縁処分を下している。だが、そもそも、その処分を下した側の神戸山口組の親分衆もまた、六代目山口組から絶縁処分を下されているのだ。ここにひとつの矛盾が生じてしまうことになる。ヤクザ社会のルールに則って絶縁処分を下した者が、一方で真っ向からヤクザ社会のルールに背いている。

 こんなことがまかり通るようになれば、ヤクザ社会の秩序は大きく乱れてしまうことになる。結果、盃によって築かれた、絶対的であるはずの関係性が有する力が弱くなることは必然だ。これは後々にまで、神戸山口組の体制に影響を及ぼすことになる。例えば、五代目山健組や岡山県に本拠地を置く池田組だ。両組織とも今年に入り、神戸山口組を離脱しているが、その際、神戸山口組は両組織のトップに対して、除籍という処分を下した。

 本来ならば、除籍であれ、破門であれ、絶縁であれ、その組織のトップが上部団体から何らかの処分を下されれば、それまでどれだけ組織に貢献していようが、処分を下された人物はヤクザ渡世を後にしなければならない。それが処分の状が持つ効力であり、盃を交わした親から発せられた言葉は絶対であるという、ヤクザ社会の秩序であった。だが、処分を出されたトップもその組織も、今もなお存続し続けている。それは、遡れば、神戸山口組の井上組長もまた六代目山口組より絶縁処分を受けており、その状態で発する処分の効力がどこまでヤクザ社会に通用するのかという疑問にぶつかることになるのだ。

 そうした判然としない状況が生み出す空気は、神戸山口組の配下の組員にまで伝播され、行き着くところは「やはり、ヤクザ社会の道理に適っているのは、六代目山口組ではないか」という考えに繋がるわけだ。加えて、六代目山口組がそこに武力を行使し、神戸山口組を攻撃し続けた。そうした結果が、今日の神戸山口組の衰退や、多くの組員の六代目山口組への復帰に繋がっていっているのではないだろうか。

 「山口組は、神戸からスタートし、武力を持って全国に根付いてきた歴史があります。そこには多くの血が流れてきました。だからこそ山口組は今もなお、日本最大組織として存在し続けているのです。なにを言ってもヤクザの世界で最後に物をいうのは、暴力です。やられたらやり返すという姿勢が組織力や求心力を生むのですが、そこでも六代目山口組が神戸山口組を圧倒的に上回っています。それが時間の経過と共に、はっきりとしてきたということではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

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