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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.624

ありのままの姿でいられる“居場所”づくりの物語 肝っ玉かあさんが奮闘する『ステージ・マザー』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

ありのままの姿でいられる居場所づくりの物語 肝っ玉かあさんが奮闘する『ステージ・マザー』の画像1
ゲイバーを舞台にした、ジャッキー・ウィーヴァー主演作『ステージ・マザー』。

 コロナ禍で居場所を失った人が多い。若年層の自殺者数が増えているのは、親の在宅勤務が増え、子どもたちの逃げ場がなくなったせいではないかという声もある。落ち着いて過ごせる場所、ありのままの自分を受け入れてくれる場所、何らかの形で社会と繋がることができる場所……。そんな居場所を求めることは、現代社会では贅沢なことなのだろうか。ジャッキー・ウィーヴァー主演の映画『ステージ・マザー』は、誰にとっても心地よい居場所をめぐる物語だ。LGBTQ+の問題に触れながら、見終わった後にはほっこりした気分になれる、ハートウォーミングなドラマとなっている。

 実在した凶悪犯罪一家を束ねるゴッドマザーを演じた『アニマル・キングダム』(10)で一躍ブレイクした、豪州出身のベテラン女優ジャッキー・ウィーヴァー。『世界にひとつのプレイブック』(12)にも起用され、今やハリウッドでもすっかり売れっ子女優となっている。豪州では恋多き女性として知られるジャッキーが今回演じるのは、ドラァグクイーンたちのショーを売り物にしたゲイバーのオーナー。強烈な個性を持つドラァグクイーンたちから頼られるステージ・マザーに扮している。

 米国テキサス州の田舎町で暮らす主婦メイベリン(ジャッキー・ウィーヴァー)のもとに、訃報が届く。家を出て行った、ひとり息子のリッキーの死を知らせるものだった。リッキーはサンフランシスコでドラァグクイーンとなり、ゲイバーを経営してた。そのショーの途中での突然死だった。死因は薬物の過剰摂取。息子の悩みを理解してやれなかったことを、メイベリンは悔やむ。

 夫の反対を押し切って、ひとりでリッキーの葬儀へと参列するメイベリン。ゲイバーで一緒に働く仲間たちが開いた葬式はミュージカル形式のド派手なもので、敬虔なクリスチャンであるメイベリンは耐えきれずに途中退席してしまう。それでも息子のことをもっと知りたいと考え直したメイベリンは、リッキーのパートナーだったネイサン(エイドリアン・グレニアー)の部屋を訪ねる。リッキーのことを見放していたと、ネイサンはメイベリンに冷たかった。

 そんなとき、リッキーが親しくしていたシングルマザーのシエナ(ルーシー・リュー)と出逢う。「リッキーはみんなに優しかった」とシエナは、その死を悼んだ。彼女のアパートに居候しがら、メイベリンはリッキーが遺したゲイバーに通うようになる。ネイサンは呆れるが、田舎のおばちゃんは打たれ強かった。

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