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財務省が国民の税負担を発表… “お手盛りの大甘見込み”を垂れ流すマスコミの罪

失業者増大の実情とあわない財務省の大甘試算

 そもそもこの予測は、1月21日に政府の経済財政諮問会議に提出された「中長期の経済財政に関する試算」を使ったものだが、この試算はとんでもなく甘いもので、“ほとんど当たったことがない”ものだ。

 常識的に考えて、新型コロナ禍の終焉が見えない状況にあって、GDPが新型コロナの影響をほとんど受けていない19年度の水準まで回復するとは到底思えない。新型コロナ禍により、失業者が増大し、生活が崩壊した人も多い。どうして、国民所得が19年度並みに回復するという予測が出せるか、不思議で仕方がない。

 確かに、社会保障負担は、年金受給金額の引き下げや後期高齢者の医療費負担引き上げで負担率を引き下げることは可能かも知れないが、それは高齢者の生活負担が増加することに結び付く。新型コロナ禍で生活保護を受ける人も増加しており、社会保障費の増加につながってくる。

 21年度予算は106兆円と過去最大を更新し、20年度と一体予算としたことで巨額の国債発行となった。加えて、さらなる新型コロナ対策が必要となる可能性も否定できず、そうなれば一段の赤字国債増発につながる。

 それでも財務省は、21年度の国民負担率は20年度よりも1.8%も低下するという“絵空事”を、マスコミを使って宣伝している。

 21年度の国民負担率は必ず、20年度実績見込みの46.1%を超えて上昇する。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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わしおこういち

最終更新:2021/03/11 19:00
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