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コロナ禍で強まるアジア系アメリカ人の迫害…トランプの対中プロパガンダで分断加速

今も続く、アジア系への迫害、犯罪

 大統領の覚書にもかかわらず、アジア系米国人に対する迫害はやまないどころか、米各地で頻発している。

 トランプ氏は反中発言と新型コロナウィルスを「チャイナ・ウイルス」、「武漢ウイルス」と呼び続けることで、コロナ禍による失業などで現状に不満を持つ白人貧困層などが潜在的に持つ反アジア・太平洋諸島出身者に対する差別意識と嫌悪感を顕在化させた。こうした不寛容と憎悪は、同氏の発言を発端に、メディアやネット上の挑発的な言動に変わり、それこそ疫病のように米社会に一気に広がっていった。

 こうした状況が放置されたままであれば、米国民、特に白人貧困層は恐怖に追い込まれることで最終的に、アジア・太平洋諸島系人であれ、イスラム教徒であれ、少数派の人たちを内部的な脅威と見始め、政府に対して行動を起こすことを要求し始めるかもしれない。

 米国に限らず差別的な法律が誕生する背景には、その時々のヒステリックな国民感情がある。アジア・太平洋諸島系米国人を含むマイノリティを標的とする行為に異を唱えるバイデン大統領の覚書は、米国で二度と日系人抑留のような悲惨な事態が起こらないようにするために投じた最初の一石だ。

 筆者の何人もの家族、親族が今もアジア系アメリカ人として米国の地に根を張って生きる。母の従兄弟にあたる人は両親が収容所に入れられたのにもかかわらず、米陸軍に志願した。ベトナム戦争中に徴兵された筆者の又従兄弟はベトナムの戦地には送られなかったが、当時の西ドイツ領内の米軍基地にて無事兵役を務め上げている。

 皆、市民権を持つアメリカ国民としての務めはきちんと果たしてきた。そんな彼らがアジア系というだけで迫害や襲撃の対象になっているのだとしたらあまりにも悲しい。アジア系アメリカ人襲撃のニュースを目にするたびに彼らの安否が気遣われる。

本田路晴(ジャーナリスト)

連邦海外腐敗行為防止法 (FCPA) に関する調査、ホワイトカラー犯罪の訴訟における証拠収集やアセットトレーシングなどの調査・分析を手掛ける米調査会社の日本代表を経て現在は独立系コンサルタント。新聞社特派員として1997年8月から2002年7月までカンボジア・プノンペンとインドネシア・ジャカルタに駐在。その後もラオス、シンガポール、ベトナムで暮らす。東南アジア滞在歴は足掛け10年。

ほんだみちはる

最終更新:2021/03/14 20:00
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