『青天を衝け』ついに篤姫が登場! 史実の天璋院は“グラマラスすぎて”徳川家定のタイプではなかった?

文=堀江宏樹(ほりえ・ひろき)

──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

『青天を衝け』ついに篤姫が登場! 史実の天璋院はグラマラスすぎて徳川慶喜のタイプではなかった?の画像1
インスタグラム:大河ドラマ「青天を衝け」(nhk_seiten

 来週の放送から『青天を衝け』に、篤姫が登場するようですね。

 篤姫が幕末モノの「大河ドラマ」に出てくることは、以前からしばしばありました。しかし、篤姫を誰が、どう演じるかで騒がれるようになったのは、『篤姫』(2008)からでしょう。

 宮崎あおいさんが演じていた篤姫のイメージが、それだけ強かったからですが、『篤姫』では、いくら主人公にしても、篤姫本人がどんな事件にも直接絡んでいってしまう設定には賛否両論ありました。

 しかし、「自分から心を開いて誰にでも向かい合わなければ」という、まるで少年マンガの主人公のような彼女の姿勢が、爽快だった記憶はあります。

『西郷どん』(2018)の篤姫は、北川景子さんが演じておられました。こちらは知的な美女で、懐の深い女性として描かれていましたよね。

 今回『青天を衝け』で篤姫を演じられるのは、鹿児島県出身の上白石萌音さんです。予告編で見るかぎり、台詞回しが素朴というか……あきらかに地方出身の姫という感じが強く出されているのが新機軸だな、と感じました。

 ちなみに、『青天~』の徳川慶喜はおそらく「良い人」として描かれるでしょうから、篤姫はもしかしたら、どちらかといえば「悪役」側のキャラとして描かれる可能性もあるにはあります。ま、それでも上白石さんは可愛いタイプの女性ですし、愛嬌がおありですから、篤姫の人気は高いままでしょうが。

 しかし一方、史実の篤姫は……というと、すくなくとも当時の感覚でも一般的な美人といえる女性ではなかったと思われます。また、彼女の輿入れについても、よくわからない部分が意外に多く、実は正室(御台所)としては嫁げなかった可能性もあるのですね。

 篤姫が家定に嫁ぐことになった経緯としては、まず徳川家から輿入れを打診されたというのが一般的です。しかし、家定自身はおそらく乗り気ではないのに、その周囲が「家定の意思」として、新たなヨメを必要とし、島津家がそれに応えたという線が濃厚なのでした。

 病弱な家定の“介護人”として正室が必要とされ、ときの老中・阿部正弘を通じて、篤姫の養父・島津斉彬にその旨が打診されたという証言もあります。これは島津家の「老女」(=地位の高い奥女中)だった園川という女性による証言です。

 その後、島津家の分家筋の出身である篤姫が候補になっていると聞くと、家定の生母の本寿院が反対しはじめ、「島津の分家筋の娘なら側室で十分!」と言っているのを(水戸の徳川斉昭の証言)、老中・阿部正弘がなんとか説得して、篤姫に正室(御台所)として嫁いでもらうという風に調整が行われたようです。

 篤姫と家定の結婚生活はあまり上手くいかなかったと思われますが、それでも篤姫という女性が徳川家に正室(御台所)という形で入っていてくれたからこそ、幕府が崩壊した明治の世でも、徳川家の血筋を名誉は失わない形でつないでいけたわけで、何が幸いするかはわからないなぁという感覚がありますね。

 しかし、自分で望んでおいて、篤姫を大事にはしなかった史実の家定には、何か理由があったのでしょうか。これは篤姫の外見と中身が、彼の好みではなかったからというしかないでしょう。

 結婚前、数え年で21歳当時の篤姫のルックスについて、有名な証言があります。「丈高く、よく肥(ふと)り給える御方であった」というもので、要するに、「タテにもヨコにも大きな女性」という意味となります。

 証言主は、『青天~』では要潤さんが演じておられる、松平慶永(まつだいら・よしなが)。松平春嶽の名前でも知られる、幕末の越前藩(現在の福井県)の名君だった人です。徳川将軍家と、篤姫の実家である薩摩の島津家の婚儀には反対者も多く、その中で尽力した徳川一族の男性です。

 ただ、注意すべきなのは、「肥えている」という表現です。「肥満気味」というネガティブな意味より、むしろ当時の語感では「健康的で、グラマラス」というニュアンスが近いのではと思われます。結婚当時の篤姫の写真はありませんが、後の写真を見るかぎり、当時から意思力の強そうな顔立ちであったことは否めませんが……。

 一方で、家定好みの女性は、どうやら細身で、モデル体型の美女だったようなのですね。まさに家定の最初の妻・鷹司任子(たかつかさ・あつこ)のことです。

 徳川将軍家の墓の発掘調査が戦後行われており、鷹司任子の遺骨もその時にお墓から見つかりました。筆者もそのときの資料写真を見たことがあるのですが、頭蓋骨に “復顔”などおこなわずとも、骨だけでの状態で「美形……!」とびっくりしてしまうような整った女性です。全身の骨格も、背が高く、顔が小さく、まるでモデルのようなスタイルの持ち主だったのではないか、と推察されます。

 家定は鷹司任子のことを、「有君(ありぎみ)」と呼び、二人の関係は良かったようです。しかし、彼女が天然痘で亡くなったのは、嘉永元年(1848年)6月10日のこと。数え年で26歳の若さでした。愛妻を失った悲しみも癒えていない翌年、家定は周囲のゴリオシで、やはり公家の女性である一条秀子と再婚させられています。

 しかし、彼女も嫁いできた半年後に急死。一条秀子については、(『青天~』では峯村リエさん演じる)奥女中・歌橋に嫌われ、毒で始末されたという物騒な話もあります。

 こういう経緯もあり、「家定が(病弱な)公家の娘はもうコリゴリ」と言っているという触れ込みで、当時、まだアラサーだった家定に三人目の妻探しが始まります。

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