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菅義偉“降ろし”を決定付ける千葉県知事選の惨敗、そして4月の補選

「眩暈するほどやばい」広告業界の天皇“渡辺直美差別企画”の下劣ぶり

「眩暈するほどやばい」広告業界の天皇“渡辺直美差別企画”の下劣ぶり

 今週の第1位は、「オリンピック」を「オリンピッグ」といい換えた企画を東京五輪の開会式の企画案にしようとした輩がいると告発した文春の記事である。

 三流のお笑い芸人でもやらないお粗末な“蔑視”ギャグを、開会式の演出を担うメンバーにLINEしたのは、広告業界で“天皇”といわれている元電通出身の佐々木宏という人間だというから呆れる。

 彼の仕事は、缶コーヒーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」やソフトバンクの「白戸家」だそうだ。

 私は、作家の山口瞳がサントリーの前身寿屋の宣伝部にいた時に考えた「トリスを飲んでHawaiiへ行こう」というのが最高のキャッチコピーだと思っている。今の人には分からないだろうが、外国旅行など夢のまた夢だった時代、トリスという安ウイスキーを飲んだらハワイ旅行が当たるというのである。日本人がハワイに憧れるようになったのは、あのコピーのなせる業であった。

 それに比べると彼のは、CMが終わるとすぐに忘れられる程度のものだと、私は思う。

 少し前に森喜郎の女性蔑視発言があったばかりだが、時系列でいうと昨年の3月5日だから、こちらのほうが先である。

 もはや「呪われた東京五輪」というしかないが、最初、東京五輪の開会式の演出を任されたのは映画監督の山崎貴だった。山崎の提案が非現実的だとして、次に能楽師の野村萬斎を据えたが、「茶室が空を飛ぶ」という突拍子もないものばかりで降板。

 3人目は、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の恋ダンンスを手掛けた演出振付師のMIKIKO。彼女は不眠不休で企画案をつくり2カ月で完成させ、IOCから絶賛されたという。

 だが、彼女のチームの一人、電通社員の菅野薫が、デイリー新潮に「部下にパワハラをしている」と報じられ、懲戒処分になってしまった。サポート役を失ったMIKIKOの前に現れたのが、森喜郎をバックにした佐々木だった。

 MIKIKOが「ストーリー作りができる人材を紹介してほしい」と相談すると、ここぞとばかりに「自分がやる」といい出したというのである。そうして広告界の“天皇”が心血を注いでつくり上げたのが、冒頭の案だったのだ。

 MIKIKOは「女性目線かもしれませんが、理解できません」とLINEに投稿。男性メンバーからも「眩暈がするほどヤバい」と批判が出て、周囲に佐々木は「冗談だった」と弁解したようだ。だが、そこから佐々木のクーデターが始まったという。

 完成形に近づいていて、約500人の大所帯になっていたMIKIKOの案を無視して佐々木は、「一人で式典をイチから決めたい」といい出したというのである。

 だが、IOCからMIKIKO案のほうがいいといわれ続けたため、あろうことか彼女の案を了解も取らずに勝手に切り張りして企画をつくろうとしたそうだ。

 500人にも及ぶチームは放置されたままで、次の仕事を入れられない。MIKIKOは辞任を考えるが、それではチームの人間たちに申し訳が立たないと悩み、体調を崩してしまった。

 自分も右下肢機能を全廃した障害者パフォーマンスイベントの第一人者、栗栖良依に対しても、プレゼン直前に同席させるだけで、栗栖は「道具みたいに扱われ、責任ある仕事をさせてもらえない」と嘆いていたという。

 ついにMIKIKOは辞任を決意する。組織委の武藤敏郎事務総長に出した辞任届には、佐々木から企画案をもらったが、「その内容は、ライブ演出の実務からしても非合理的かつ非現実的で、(中略)到底納得できるものではありませんでした」と痛烈な批判の言葉が書かれていた。

 そこにまた、女性蔑視の元締めである森喜郎が、彼女にこういったという。「あなたが女性だったから、佐々木さんは相談できなかったのでは」。さらに事を荒立てるなとくぎを刺したそうだ。

 当然だが、式典の責任者がころころ変わることで、当初の予算から数十億円も膨らんでしまっている。その責任の一端が佐々木にあることは間違いない。

 佐々木は3月18日に辞意を表明したが、私にいわせれば「逃亡」したというべきである。

 佐々木は『創』(4月号)の広告クリエイタ―特集の中で、オリパラに関わっているが、オリンピック憲章が素晴らしいと語っている。

 この男、憲章の中に「オリンピック・ムーブメントの目的は、いかなる差別をも伴うことなく」とあるのを知らないようだ。万が一五輪が開催されても、差別と排除の精神ばかりが目立つことになるのだろう。(文中敬称略)

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