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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > ポルノ視聴と男性性の劣化の関係(後編)

VRの登場で射精マシーン化が加速する?──Pornhub動画削除で考えるポルノ視聴と男性性の劣化の関係(後編)

──近年、欧米ではポルノ批判が顕著だ。理由はPornhubなどでオンラインポルノを視聴することで、現実でセックスを求めなくなり、さらに実際にセックスをしたところで、ポルノ視聴以上の快楽は得られず、そのことで男性性が弱体化するからだというが、果たして……。前編はコチラ
サイゾー21年1月号「男性学」特集より一部転載)

VRの登場で射精マシーン化が加速する?──Pornhub動画削除で考えるポルノ視聴と男性性の劣化の関係(後編)の画像1
写真はイメージ(Getty Imagesより)

 前編では、ポルノが「男性を劣化させている」「セックスレスを助長している」といった批判について述べてきたが、これらの主張について和光大学現代人間学部の准教授、馬場淳氏は性の人類学から、次のように解説する。

「あくまで性行動の観点からみれば、ポルノは男性に新たなフェティシズムを創造したり、これまで気づかなった官能のありかたをもたらしたと言えます。性交に何十分もかけるようになったのは、二十世紀後半以降でしょう。昔は体位のヴァリエーションを楽しんでいた人など少なかったでしょうし、セックス自体、現在よりも即物的なものだったように思えます。商業主義的な動機で推し進められてきたとしても、ポルノが性をめぐるさまざまな楽しみや行動を創り出してきたことは間違いないでしょう」

 一方で「性器を刺激するのに2人は必要ない」というオナニーの先鋭化については、「劣化といってもいい状況になっている」という。

「オナニー自体が悪いわけじゃありません。性犯罪に比べればオナニーしてる方が明らかに無害だし、何より『自己の身体とのエロス的関係』(上野千鶴子『女ぎらい』紀伊國屋書店)を築く行為でもあります。男性の身体にはペニス以外にも、乳首や前立腺など官能部位は無数に存在します。それらはオナニーのなかで“発見”されたり、“開発”され、やがては他者との官能的つながりのツボにもなっていくかもしれません。この観点から言うと、今回の話に関わるオナニー事情に危機感を抱いてしまうところがあります。例えば、VRを用いたリアルなAV鑑賞を挙げると、ヘッドマウントディスプレイとジョークグッズ(オナホールなど)を併用するVRオナニーでは身体をいじることは難しく、ペニス以外の官能部位が無視されてしまいます。つまり視聴者はペニスを通してでしか自分の身体を感じられないので、身体はペニスへと切り詰められ、『ペニス中心主義』がますます強化されていくことになります」

一見すると荒唐無稽に見えるかもしれない、この「ペニス中心主義」という言葉は、男性の劣化と密接に結びついているという。

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