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「PPAP」は百害あって一利なし!? 日本社会に意味不明な「メールしぐさ」が蔓延したワケ【クロサカタツヤ×大泰司章】

文=月刊サイゾー

通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!(サイゾー21年3月号より一部転載)

──昨年末に平井大臣から日立まで「PPAP止めます」と宣言したらアラ大騒ぎ。今頃ピコ太郎とは遅れてるね、と思いきや実はコレ大企業とかお役所のメールによくある、添付ファイルを暗号化して送るお作法のこと。セキュリティ専門家いわく情報漏えい対策として無意味らしいけど、何より受け取ってから暗号化を戻すのが面倒なのが嫌われるゆえん。はてさて、一体全体誰が始めたことなのか。

「PPAP」は百害あって一利なし!? 日本社会に意味不明な「メールしぐさ」が蔓延したワケ【クロサカタツヤ×大泰司章】の画像1
●年齢階層別インターネット利用の目的・用途(複数回答)(2019年) (出典)総務省「通信利用動向調査」より

クロサカ 2020年11月に平井卓也デジタル改革担当大臣が内閣府等での「PPAP」を禁止し、今年1月には日立が社内で禁止するとのニュースも流れました。この「PPAP」は、本家であるピコ太郎の歌のことではなくて、「Password付きZIPファイルを送ります、Passwordを送ります、Aん号化(暗号化)Protocol(プロトコル)」のことです。仕事で添付ファイルを受け取るとき、ファイルが暗号化されていて、そのパスワードだけが別のメールで送られてくることがありますよね。こうしたファイルの送り方のことを「PPAP」と名づけたのが、今月のゲストの大泰司さんです。

大泰司 私がメール送受信の「PPAP」を思いついたのは、ちょうど本家ピコ太郎の「PPAP」が流行った16年のことでした。以前から添付ファイル暗号化について「面倒くさいし、ちょっと問題だな」と思っていたときに「PPAP」を見て、「PPTP」や「PPP」といったインターネット関係の技術用語に似ているなと思ったんです。それで数分ほど考えて、こじつけたものです。英語ができないからこそ考えついたんだと思います。

クロサカ 今では検索すると、ピコ太郎の「PPAP」よりも大泰司さんの「PPAP」のほうが上に出てくるほどですよね。

大泰司 20年4月に独立して「PPAP総研」という会社を立ち上げたんですが、その直後からこんな大騒ぎになってしまった。実は内心では、本家から怒られないかとビクビクしています(笑)。

クロサカ でも、ピコ太郎も「PPAP禁止」に乗っかったコメントをツイッターに書いていましたよね。

大泰司 それを見て、たぶん見逃してくれているんだと思っています。でも、もともと私が「PPAP」を問題視したのはセキュリティについてではなくて、メールを受信する側に一方的な不便を強いているところなんです。例えば、大企業が取引先に対して一方的な契約や手続きを大量に押しつけることがあります。私も以前いた会社では営業をしており、大企業の購買部には大変お世話になっておりました。いろいろな意味で(笑)。「PPAP」もそうした企業間取引の問題のひとつだという認識でした。ところが、「PPAP」の話をしていくうちに、セキュリティ関係の方が「セキュリティ上も大問題」だと盛り上がってくれたんです。

クロサカ 確かに、セキュリティの観点から見ても、zipの暗号化なんてほぼ何も守ってないに等しいし、メールと電話のように連絡経路を分けるならさておき、メールでパスワードを送っていても無意味です。

大泰司 今は、ほとんどの方が「PPAP」はセキュリティ上の問題だと思っているようですね。

クロサカ 「PPAP」は、添付された暗号化ファイルを自分で解除しなければならないので、受け手にとって手間がかかります。でも、送る側は自動的に暗号化してパスワードを別送するソリューションを導入している企業が大半なので、社員は普通にメールソフトで送るだけで手間だと思っていません。つまり、導入する側の企業からは、あまり不満の声は上がらない……ということは、欲しがっているのは導入する企業の方なんですか?

大泰司 そうなんです。もっというと、現場で忙しく社外とメールでやりとりしている方なら、自分も受信側になるから相手の面倒が想像できるわけですが、それがわからず、一方でセキュリティの観点で自己防衛に走ることが要請されてしまう、情報システム部門なのかもしれない。

クロサカ ベンダーが実際に向かい合うのは情シスでしょうから、彼らの求めには応じてしまうわけですね。

大泰司 ところが「PPAP」に関しては、ベンダーも「本当はこんな機能を付けたくない」って嫌がっているんですよ。最初に「PPAP」を言い始めた頃、そうしたメールソリューションベンダーから「余計なことをするな」って怒られるんじゃないかとビビってました。ところが、実際に彼らと話してみると「大賛成だからやってくれ」と言われた。彼らも本当はやりたくないので、「PPAP」反対活動を攻撃したりしないし、社会全体で「PPAP」を止めようという流れになったら会社として対応すると言ってくれたんです。

クロサカ ええっ!? じゃあ、なんで「PPAP」が生き残っちゃっているんでしょうか。

大泰司 実は、「PPAP」を含む誤送信防止のソリューションってメール関係では数少ない儲かっているジャンルなんですよ。なぜかというと、企業向けの電子メールの市場は、MicrosoftのOutlookとかGoogleのGmailによって席巻されてしまったんです。そうなると、OutlookやGmailにない機能って「PPAP」を含む誤送信防止くらいしか残されていない。そして「PPAP」がないと、メールソリューションを企業が買ってくれないんです。ここは、逆に、メールソリューションベンダーは、「PPAP」廃止で注目を浴びていることをチャンスととらえて、メールに限らずにソリューションの幅を広げてほしいと期待しています。

クロサカ こじらせていますねぇ……。そして、16年からおよそ4年がかりで、ここまで来たんですね。

大泰司 でも正直、もっとかかると思っていました。地道に言い続ければ、多少は効果があるかと思っていましたが、こんな形で急激にバズるとはまったく考えていませんでした。

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