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スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会【17】

日本だけじゃない!? アメリカでも起こる世代間闘争「ブーマーvsミレニアルズ」を笑いに変えたネイト・バルガッツィの最新作

アメリカでも流行する“老害は黙ってろ”

 19年ごろから「OK Boomer」ということばが流行した。これはブーマー世代の説教や「最近の若者は……」のような発言に対し、それらをあしらい、受けながす際に用いる表現で、「はいはい」「老害は黙っといて」というニュアンスでTikTokなどのSNSを中心にミレニアルズやティーンの間で広まった。

 世代間の経済格差も問題となっている。現在アメリカでは全体の富の50%以上をブーマー世代が独占しているのに対し、主力労働人口のミレニアル世代はわずか5%未満しか有していないと言われている。「ブーマー世代のツケを若い世代が払わされている」という意識を持つミレニアル世代も多くいる。

 そしてコロナ禍で両者の溝はより深まりを見せる。街に出歩きお祭り騒ぎをする若者の映像がニュースに映し出されるたびに、「これだから感染が収まらないんだ」と眉をひそめるブーマー世代。

 一方で、新型コロナのワクチンはブーマー世代から接種され、彼らの一部はレストランやバー、リゾートにも繰り出しているのに対し、若い世代にはまわってこず、「年寄りのせいで俺たちが割りを食っているんだ」という若者の不満が実際、連日ニュースでも報道されている。

 人種や宗教といった「分断」を癒すと宣言したバイデン政権にとって、「世代間の分断」も大きな壁として立ちはだかる。

 会場の隣の席の人だって「世代」も「考え」も違うに違いない。それでもひとつのジョークに一緒に笑えれば、その瞬間「分断」は消えて無くなると信じている。何色にも染まらない「きわめて平均的なアメリカ人」で且つ「はざまの世代」にいるネイト・バルガッツィだからこそ、笑いを通してアメリカを、そして世界を変えられるかもしれない。

<ネイト・バルガッツィ>
1979年テネシー州生まれ。ニューヨークでスタンダップコメディアンとしてのキャリアをスタートさせ、これまでネットフリックスのスペシャルに3本出演したほか、ジミー・ファロンともツアーを行うなど精力的に活動。全米でヘッドライナーとして公演を行う実力派コメディアン。

<Great Average American>
ネイト・バルガッツィの2年ぶりとなるスペシャル。ハリウッドのユニバーサルスタジオ屋外ステージでの収録。子育てや友人関係、結婚生活など生活に根ざしたエピソードで展開される1時間。共感を呼ぶ内容で、批評家たちからも高評価を得た。

Saku Yanagawa(コメディアン)

アメリカ、シカゴを拠点に活動するスタンダップコメディアン。これまでヨーロッパ、アフリカなど10カ国以上で公演を行う。シアトルやボストン、ロサンゼルスのコメディ大会に出場し、日本人初の入賞を果たしたほか、全米でヘッドライナーとしてツアー公演。日本ではフジロックにも出演。2021年フォーブス・アジアの選ぶ「世界を変える30歳以下の30人」に選出。アメリカの新聞で“Rising Star of Comedy”と称される。大阪大学文学部、演劇学・音楽学専修卒業。自著『Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!』(産業編集センター)が発売中。

Instagram:@saku_yanagawa

【Saku YanagawaのYouTubeチャンネル】

さくやながわ

最終更新:2023/02/08 11:22
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