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スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会【17】

日本だけじゃない!? アメリカでも起こる世代間闘争「ブーマーvsミレニアルズ」を笑いに変えたネイト・バルガッツィの最新作

文=Saku Yanagawa(サク・ヤナガワ)

日本だけじゃない!? アメリカでも起こる世代間闘争「ブーマーvsミレニアルズ」を笑いに変えたネイト・バルガッツィの最新作の画像1
Netflix『Great Average American』公式サイトより

 人気スタンダップコメディアン、ネイト・バルガッツィの2年ぶりとなる新作『Great Average American』が先日、Netflixからリリースされた。無表情のまま淡々と、そしてどこまでも冷静に物事を描写するその語り口でこれまで多くのコメディファンを魅了してきた。

 本作ではコロナ禍のため、客席はソーシャルディスタンスを守るために間隔があけられ、観客も全員マスクを着用した上で舞台上に視線を送った。会場はハリウッドのユニバーサルスタジオの特設屋外ステージ。60分間の公演中にヘリコプターや飛行機が幾度となく上空を飛び、その度にジョークが遮られるというまさにイレギュラーな状況でのショーだった。

 それでもネイトは持ち味の、多くの人が共感しうる、日々の生活に根ざしたジョークで話を巧みに展開していく。結婚し、一児の父でもある彼は、夫婦生活の中で起こる些細ないざこざや、娘との愉快なやりとりなどをネタにして笑いを誘った。放送禁止用語などは用いずに、抑制の効いたことばで展開されるそのエピソードは見る者に情景を鮮明に思い浮かべさせると同時に、ネイト・バルガッツィというひとりの人間の性格や生き方をも感じ取らせてくれる。

 それはまさにタイトルの「Great Average American」(=とんでもなく平均的なアメリカ人)ということばの通り、市井のアメリカ人が切り取る日常が語られた温かい笑いだ。

 中盤に差し掛かり、ネイトは自身の「世代」に言及する。

「俺が生まれたのは1979年。まさに“はざまの世代”なんだ」

 日本と同様にアメリカにも世代に関する多くの呼称が存在する。第二次世界大戦後の1946年からケネディ政権時代の64年にかけて生まれたいわゆる「ベビーブーマー世代」、そこからベトナム戦争終結(75年)までの期間に生まれた「X世代」、そして80年代序盤から00年までに生まれた「ミレニアル世代」などと区分され、しばしばそれぞれの世代の特徴などがメディアや日々の会話でも取り上げられる。

 確かに79年生まれのネイトはこのどこにも属していないが、自身は自らの世代を「幸運だ」と語る。

「俺たちは二つの世界を生きることができたんだ。子どもの頃は今みたいに世の中が過敏じゃなかったから、子どもたちだけで外で遊ぶこともできたし、パソコンなんて億万長者しか持ってなかった。でも高校になったら今度は、インターネットの時代が来て、ポケベルに携帯、その後にはSNSの時代になったんだ。その両方を経験できたのは俺たちだけだ」

 幼少期にIT革命を経験したミレニアル世代は、最初のデジタルネイティブ世代とも言われている。

 ネイトはツアーで訪れたホテルでのエピソードを話す。

「クロームキャスト(テレビに装着するストリーミングデバイス)が故障したからフロントに電話したら、直しに来たのが俺よりかなり年上のブーマーだった。直せるわけないって諦めてたんだけど、彼らは”諦めない世代“だからあれこれやってくれたんだ。でも結局ダメだった。そしたら『あと1時間後に若い奴が出勤するから大丈夫だ』ってそいつが言うんだよ。その若い奴の年を聞いたらミレニアルズだって言うから、それなら大丈夫だって確信した。だってテクノロジーと一緒に育った世代だからね。でも、結局、その若い奴ってのは、ついぞ出勤すらしてこなかったんだ。ミレニアルだな」

 無断欠勤を平気でする「最近の若者」を描いたこのジョークに会場は、この日一番の歓声をあげた。このジョークには客席のブーマー世代も、ミレニアル世代も大きな拍手を送っていたのが印象的だった。

 世代間で起こる軋轢は、なにも日本に限ったことではない。

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