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コント番組が乱立しすぎて区別がつかない!?「新しい波」を引きずるフジ、Z世代狙いのテレ朝、『有吉の壁』チームで挑む日テレ

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新しいカギ – フジテレビより

お笑いブームがいよいよ極まってきている。ただただ楽しく観るのもいいが、ふとした瞬間に現代社会を映す鏡となるのもお笑いの面白いところ。だったらちょっと真面目にお笑いを語ってみてもいいのではないか──というわけで、お笑いウォッチャー・タカ&ユージが気になる動きを勝手に読み解く!

スター作家が集まったフジテレビ『新しいカギ』

ユージ この1年でコント番組の数がすごく増えました。この春は、改編期に特番で『コントミチ 笑う心臓』『コントミチ ヤバいハートマーク』(共に日テレ)があり、4月から『新しいカギ』(フジテレビ)がレギュラー化。昨年から特番や不定期放送されているのが『東京 BABY BOYS 9』『お助け!コントット』(共にテレ朝)、『Do8』『ただ今、コント中。』(共にフジ)、『激ヤバ!チョコプラ修羅場劇場』(読売テレビ・日本テレビ)……と、ざっと挙げられるだけでも本当に多いです。

タカ どれがどれだったか、ごっちゃになるくらいありましたね。

ユージ メインの芸人が重なっている番組もあって、わからなくなる……。この流れのさきがけとなったのは、昨年複数回放送されたゾフィー、ハナコ、かが屋、ザ・マミィによる『東京BB9』『コントット』でしょうか。4組はもともと“コント村”というユニットで活動していて、『BB9』でもライブを開催。一方同じメンツでやっている『コントット』は、視聴者からのお悩み相談をコントに昇華するという趣旨です。

タカ 『修羅場劇場』も「お悩み」を起点にやってましたね。構成を考える作家からしても、悩み相談の形式はお題がある状態だから考えやすいんでしょう。

ユージ 『修羅場劇場』は「会社に困った人がいます」みたいなお悩みを芸人がコントで演じ、パネラーが解決案を提示するという構成でした。

タカ 演じられた悩みに対して解決案をコメントするのはパネラーの役目という分業があって、見やすくなっていて良かったです。

ユージ パネラーがいるのはだいぶ大きいですよね。いわゆるコント番組とは違うつくりになっている。

タカ そうですね。より“バラエティ”色が強いと思いました。パネラーがコントにも入っていったり、ツッコミを入れたりして回っていく。冒頭で挙がった一連の番組の中で、これだけは在京局じゃなくて関西の読売テレビなんですね。ゆるいけど、私は結構好きでした。

ユージ 『修羅場劇場』はちょっと下世話というか、大人向けの悩みが多かったのに対し、『コントット』は恋愛だったり若い人向けの内容が多めでした。合間のコーナーでもTikTokを取り入れたり、全体に若年層を意識してる感じが強かったですね。

タカ ロゴなどのデザインも若者向けでした。でも、同じメンツなら『東京BB9』のほうが良かったです。劇場でコント師たちがやるユニットコントらしさがありながら、そこにちゃんとした作家さんが入って構成しているんだなというのが伝わりました。

ユージ 『コントット』も基本的には芸人たちでネタを出してつくっていたようですが、相談内容から微妙すぎる“女子あるある”や“恋愛あるある”をやっている場面が結構気になりました。「これだけのメンツを集めてわざわざそんなことしなくてもいいのでは?」と。

タカ そのあたりはAbemaっぽい。ノウハウというか、考え方として「若者は恋バナが大好き」という前提を絶対に揺るがせないあたりが。それで実際に若者が観てるんでしょうし。

ユージ「学園祭にイケメンが来たら」みたいなコントをゲストの神尾楓珠くんとやってた回もありましたね。

タカ 昔のコント番組は男性芸人と女性アイドルの組み合わせだったのが、今は“イケメン”を入れるんですよね。『コントット』にはHiHi Jets(ジャニーズJr.)の井上瑞稀くんも出てたし、『新しいカギ』のパイロット版(2021年1月3日放送)に眞栄田郷敦くんが出てたり、『Do8』にもSnow Manの目黒蓮くんが出てたり。目黒くんが出たコント「転生したら美人だった件」は、3時のヒロインのかなでが転生したら美女になっていて目黒が“ブサイク青年”の設定で……というもので、古臭かったです。そのわりに、映像のつくりはドラマ仕立てで無駄にしっかりしているのもアンバランスで気になりました。

ユージ 同じフジの『新しいカギ』のレギュラー初回はどうでしたか? セットが豪華でコントはベタな設定が多くて、ザ・テレビコントという雰囲気がありつつも、大喜利力の高さみたいなところで成り立っているな、と思いました。構成も、樅野太紀さん、竹村武司さん、白武ときおさんなどスター作家を入れた上に、ザ・プラン9の久馬(歩)さんや元・犬の心の押見(泰憲/現・おしみんまる)さんと現役の芸人も顔を揃えて、気合いが感じられます。

タカ 『新しいカギ』については『Do8』とセットで考えたいです。名前からして『めちゃイケ』や『はねるのトびら』を生んだ「新しい波」シリーズを意識しまくってるじゃないですか。「新しい波」はフジが提唱する「お笑い8年周期説」に基づいて最初の無印から8年ごとに「8」「16」「24」とやってきていて、『新しいカギ』と『Do8』には「新しい」と「8」が分散して入っている。制作陣にそれぞれ『めちゃイケ』や『はねトび』をはじめ、フジのコント番組にかかわっていた人たちが入っているんですよね。フジのコント番組はずっとベースが「新しい波」にあって、どうしてもそこから飛び出すものはやりにくい。でもそれは局側のエゴであって、芸人や視聴者からすれば関係ないじゃないですか。誰も「波8」のことなんかいまさら気にしてないですよ、という。

ユージ ただ『新しいカギ』『Do8』はチョコレートプラネットや霜降り明星、四千頭身、ぺこぱなど、すでに十分売れている芸人をメインに据えているところが、これまでのフジのコント番組とは違うんじゃないでしょうか。「発掘してここから売り出すぞ」ではない。逆に言えば、フジが青田買いに乗り遅れたということでもありますが。

タカ そうですね。『ウケメン』(2019~2020年)みたいな、自分たちで見つけた芸人でハネる番組をつくろう、というのとは違う。これまでのフジのコント番組は、その考えが強すぎたんだと思います。今はもう芸人たちのほうが先にいっている。

ユージ 「新しい波」の栄光は捨てきれないけど、『はねトび』の再来はやっと諦めたのかな、と思いました。

タカ 『AI-TV』(2017~2018年)なんか本当に早すぎましたからね。今活躍してる人ばっかりでしょう。

ユージ 『AI-TV』は『波』シリーズで発掘したメンツでつくる番組の系譜の最後に位置するんですね。

タカ なんというか、そういう「売り出すための番組」でブレイクしないほうがいいのかもしれませんね。自分のやるべきことをじっとやっていたほうが、後々で良くなる。

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