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熊田曜子のDV被害は「仕方がない」こと? 「不倫したならどっちもどっち」という意見への違和感

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熊田曜子Instagram(@kumadayoko )より

 週刊誌を使った泥仕合となっている熊田曜子さんの離婚問題。当初は夫の暴行容疑が報道され、熊田さんへ同情する声が多かったものの、週刊誌で熊田さんの不倫疑惑が報じられると、ネット上では熊田さんへのバッシングの空気が強まっている。

 熊田さんの不倫報道は、「FLASH」6月15日号(光文社)から始まった。報道では、熊田さんの夫の友人が、夫から相談を受けた内容をもとに、「熊田さん側にも原因がある」と語っている。記事によれば、今年2月くらいから熊田さんの行動に不審な点が見られるようになり、夫が不在時の自宅内を録音したところ、不倫の疑いが濃厚になるような音声が録音されていたとのことだ。指摘された会話と思われる音声については、6月11日、「デイリー新潮」のYouTubeチャンネルで公開されている。

 逮捕当日の暴行疑惑についても、不倫について追及していたところ口論になり、熊田さんがまともに話し合おうせず布団から出てこなかったところ、<布団を跳ね上げたとき、手が彼女の顔に当たってしまった>とのことだ。

 また、6月10日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、夫が取材に答えており、不倫相手は、熊田さんが出演する『ノンストップ!』(フジテレビ系)のスタッフではないかということ、熊田さんのバッグから女性向けのセルフプレジャーアイテム「ウーマナイザー」が見つかり、そのヘッド部分をDNA鑑定にかけたところ、精液の存在が確認されたことが書かれていた。

 一方で、「FLASH」によると、熊田さんは代理人弁護士を通じて不倫及び、事件当日に夫から不倫疑惑を追及されたことも否定。さらに事件当日、夫が一方的に罵倒したり脅迫的言葉を発した音声を熊田さんが録音していたことも明かした。このときの音声と思われるものは、6月9日に「NEWSポストセブン」のYouTubeチャンネルで公開されている。

 また、熊田さんも『週刊文春』の取材に代理人を通じ、不倫相手と疑われている男性の連絡先を知らず、ウーマナイザーを持って外出したこともないと回答。このように、両者の主張は完全に対立している状態だ。

「暴力」と「不倫」は相殺されるものではない

 そんな中、ネット上では熊田さんをバッシングする声が強まっている。「大した怪我ではないのに大袈裟だ」「不倫疑惑があるならお互い様」「被害にあった後も楽しく仕事をしているのはおかしい」──その批判は本当に的確なのだろうか。

 まず「大した怪我ではないのに大袈裟だ」という点だが、熊田が5月31日に所属事務所を通じて公表したファックス文書によると、<夫からの暴力行為は今回が初めてではなく、夫が帰宅する時間が近づくと恐怖を感じるようになってしまって>とあり、過去にも暴力行為があったことと、その恐怖心が残り続けていたことを熊田さんは打ち明けている。一度暴力を振るわれたことがあるならば、大声を出されたり、物を叩かれたりすることなどでも「また殴られるのではないか」と恐怖を感じるだろう。

 DVというと、暴力などの身体的暴力をイメージする人が多いだろうが、大声で怒鳴る、人付き合いの制限などの「精神的暴力」、生活費を渡さない、仕事を辞めさせるなどの「経済的暴力」、避妊に協力しない、性行為を強要するなどの「性的暴力」も含まれる。

 次に、「不倫疑惑があるならお互い様」という意見だが、不倫は不倫、暴力は暴力であり、「不倫をしていたから暴力を振るわれても仕方ない」とはならない。

 6月6日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、ハライチの岩井勇気さんが「暴力は絶対良くない」と前置きしつつも、<「暴力を誘発するようなこと言ってませんか」っていうことにもなるじゃないですか>と発言する場面があった。これに対し、演出家の金谷かほりさんは<カッとなってもぶっちゃダメですよ>と、どんな理由があろうと暴力をしていい理由にはならないことを強調していた。

 番組では、熊田さんが以前から夫の批判をSNS上に投稿していたことについても疑問視されていたが、熊田さんにも問題があったとしても、暴力と相殺されるわけではなく、それぞれ別の問題として判断すべきだろう。

 また、松本人志さんは<熊田さんその割には割とお元気でお仕事されて、「銀座のママする」とか言ってらっしゃるので、非常になんかトワイライトゾーンだなって思って>と、DV騒動のあとも、普通に仕事を続ける熊田さんの姿に疑問を呈していた。

 人前に出る仕事である以上、内心は明るい気持ちでなくとも、元気に振る舞わなくてはいけないこともあるだろう。「銀座のママ」をすることについては、ネット上でも否定的な意見があるが、YouTubeの企画であるし、「DVで傷ついている人が水商売をするのはおかしい」というのも偏見だ。

 また、「週刊文春」の報道により、ネット上では「ウーマナイザー」への注目を集め、ネタとして消費されている。女性が自慰行為をしたり、アイテムを使用したりすることは何もおかしなことではないのだが、まだ世間ではタブー視されていたり、ふしだらな女性というラベルを貼られがちでもある。

 「週刊文春」の取材で、夫は<夫婦の間で起きたことを語るのを控えてきたのは、子供への影響を考えたからです>と話していた。その感情に配慮するならば、記事中で「ウーマナイザー」という固有名詞まで明らかにする必要はあったのだろうか。これだけネット上で“ネタ化”されている状況を見ると、子どもへの影響がないか心配になる。

DV被害を受けても相談できない人は多い

 今年3月に公開された内閣府の「男女間における暴力に関する調査」では、女性の約4人に1人、男性の約5人に1人が配偶者からの暴力を受けており、被害を受けても女性の約4割、男性の約6割がどこにも相談していないという。

 相談のハードルが高いなかで、「大したことではない」「どっちもどっち」「被害者らしくない」……こういった二次加害の空気を広めることは、DVで悩んでいる人々の口を塞ぐことにならないだろうか。

 DVに関する正しい知識を身につけ、他人の出来事に対し、安易にジャッジをしないことも必要だろう。

【内閣府 男女共同参画局 相談先】
DV相談+(プラス)
※全国共通の電話番号(#8008)から相談機関を案内するDV相談ナビサービス

配偶者からの暴力被害者支援情報

雪代すみれ(フリーライター)

フリーライターです。企画・取材・執筆します。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/社会心理学など

Twitter:@yukishiro7946

ゆきしろすみれ

最終更新:2021/06/16 19:08
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