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『家、ついて行ってイイですか?』家族を守るより、政治活動に没頭する夫。それを支える占い師の妻は…

家族ではなく国を守ろうとする夫

 5年前に結婚した2人だが、初婚同士ではない。ファミマで再会したとき、山田さんは離婚直後だった。娘さんの幼稚園入園式から2週間経った頃、奥さんと娘さんの姿が家から消えたという。

「まあ、僕が悪いんですよ。これ(道路使用許可申請書)とつながるんですけどね、政治的というかそういう大きな課題に対してのめり込んでっちゃったんです」(山田さん)

 数年前、尖閣諸島付近で漁船が巡視船と衝突する事件があった。そのとき、「沖縄に行って自分ができることをしないと、中国と戦争になる」と山田さんは思い、沖縄通いを始めたらしい。結果、家を空けることが多くなり、奥さんと娘さんに逃げられてしまった。

「でも、今同じことしてるかも、私を置いて。ほとんど会ってない。何カ月ぶりだかわかんないくらいなんです。全然、家に帰ってこないんです」(さとこさん)

こんな綺麗な奥さんがいるのに!? 駅前に通い、街頭演説に没頭している現在の山田さん。持ち家があれば収入がなくても何とかなるが、それ以前に家に戻っていなかった。

山田さん  「簡単に言うと別居状態です。2人で一緒にいると話し合いじゃなくてケンカになっちゃうんです。距離を置くと話し合いになるんです」
――突然、出て行かれたんですか?
さとこさん 「いや、2月2日の夜に『政治活動が邪魔される』とかいろんなことがあって、そのときすごい怒ってて、顔が真っ赤で。もうすごい真っ赤で、うわぁーって怒って出て行ったんですよ」
――(山田さんは)今日まで家に帰らずだったんですか?
山田さん  「そうそうそう。日進町の簡易宿舎にいました」
さとこさん 「1泊1,700円とか払って」
――じゃあ、今日もこの撮影がなかったら家には帰ってなかったですか?
山田さん  「そうですね」
さとこさん 「すごい久しぶりに顔見たから。心配しちゃうよ、そりゃ。好きだからさ」

 だから、訪問時にさとこさんは「寂しかった」と口にしていたのか。2人が妊活を一時停止している理由もわかった。でも、家族も守れない人が果たして国を守れるだろうか。家族以上に守らなければいけないものなんてあるのか? 国より自分を省みてはどうか? 政治活動より自分の家族を幸せにする努力をしたほうがいいと思う。夫が帰ってきて「うれしい」「寂しかった」「頑張ってほしい」という言葉を素直に口にしたさとこさん。こんないい奥さん、探したって他にいない。

――今日はこの家で寝るんですか?
山田さん  「寝ませんよ。日進町(簡易宿舎)に戻りますよ」
――ご主人はまだ(家には)帰れない?
山田さん  「帰れないですね」
――奥様としては1日も早くご主人には帰ってきてほしい?
さとこさん 「そうですね。私はただ、一緒にごはん食べて、寝てとか、それだけで幸せなんですよ」
山田さん  「今やらないと後悔するなってところまで来てるかなって」

 謎の使命感だ。日進町なんて、この団地からすぐそこの場所である。いい家があって、理解のある奥さんがいるのに、わざわざお金を払って簡易宿舎で寝る意味がわからない。奥さんとちゃんと話し合いができずに、何が政治活動だろうか? というか、そんなに自由でいたいならはじめから家庭を持っちゃダメだ。前妻が逃げたのもわかる。たまにこの番組は、こういう理解不能な人が出てくる。果たして、さとこさんはこの夫を占うことができなかったのだろうか……?

 この取材から4カ月後、番組スタッフは山田家を再訪した。すると、山田さんがちゃんと家にいたのだ。良かった。彼は3カ月前に家に戻っていたらしい。

「(家に戻った)1番大きい理由は、お金がなくなりました(笑)。結局、簡易宿舎と言っても1泊1,700円。それで毎日銭湯だったので」(山田さん)

 お金がなくなったから帰った!?  今、この夫婦の収入源はさとこさんの占いのみという現実がある。じゃあ、お金ができたらまた出ていくということ? きっと、この人はまた繰り返しそうな気がする。

 一方のさとこさんは、歌を歌うことを始めたそうだ。別居期間を経て、自分のやりたいことを見つけることができた。また、彼女がいい声なのだ。美人だし、歌がうまい。なのに、こんなにつらそうな生き方を選んでしまっている。

 やはり、山田さんは結婚しないほうがよかった気がする。アーティスティックに生きたいなら独身同士で同棲するのも手だ。その状態で思う存分思想を貫くのなら、誰からも文句は言われない。家に居着かないわりに妊活の本を購入したり、振り回される側のさとこさんのことが心配になる。家庭を持つのが不向きな人とわかっているのに、夫を深く愛する占い師の妻。このVTRはマイナスプロモーションになっていないか? 不幸せな占い師に見てもらいたい客なんて、きっといない。

 久しぶりの『家つい』で、夫婦の難しさをじっくりと学んだ。この番組を見ていると、夫婦の形は十人十色だと痛感する。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/08/18 21:00
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