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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.656

あの世から生還した園子温監督の復帰第1作! 映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

あの世から生還した園子温監督の復帰第1作! 映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の画像1:ショットガンを持つニコラス・ケイジたち
ニコラス・ケイジが主演した、園子温監督のハリウッドデビュー作

 この映画は、もう少しで三途の川を渡るところだった男が撮った作品である。2019年2月、園子温監督は心筋梗塞を発症し、緊急入院した。救急車で運ばれた際、心肺機能が一時停止した状態だったそうだ。「死が近づいた瞬間は気持ちよかった。意識が宇宙まで飛んで、天の川が見えた」と、2019年10月に配信スタートしたNetflix映画『愛なき森で叫べ』でインタビューした際に、園監督は語った。リアルに生死の境界線をさまよった園監督が、復帰第1作として完成させたのが『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』。ニコラス・ケイジが主演した、園監督待望のハリウッドデビュー作となっている。

 新興宗教による洗脳の恐ろしさをモチーフにした『愛のむきだし』(09)、愛犬家連続殺人事件を題材にした『冷たい熱帯魚』(11)のような実話ベースのギラギラした作品を期待すると、裏切られることになるかもしれない。園監督のフィルモグラフィー上で言えば、ディストピア化した近未来の街での抗争劇『TOKYO TRIBE』(14)を思わせる無国籍なアクションエンターテイメント作品だ。

 日本のポップカルチャーが大好きで、今回の撮影がきっかけで日本人女性と結婚したニコラス・ケイジが主人公。ヒロインは『キングスマン』(14)の義足の殺し屋役で強烈なインパクトを放ったソフィア・ブテラ、「サムライタウン」を支配する悪徳保安官に『悪魔のいけにえ2』(86)で知られる個性派ビル・モーズリーが配役されている。ハリウッドデビュー作としては、悪くないキャスティングだ。撮影はすべて日本で行なわれ、『地獄でなぜ悪い』(13)のTAK∴(坂口拓)、『TOKYO TRIBE』のYOUNG DAIS、『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)の栗原類らも出演している。

 ハリウッド側が用意した脚本は、極めてシンプル。数々の犯罪を重ねてきたヒーロー(ニコラス・ケイジ)は、相棒のサイコ(ニック・カサベテス)と銀行を襲撃する。だが、襲撃中に仲間割れし、あえなく御用に。フンドシ一丁姿で拘束されたヒーローは、「サムライタウン」を牛耳るガバナー(ビル・モズリー)から取り引きを持ち掛けられる。

 それは、お気に入りの女・バーニス(ソフィア・ブテラ)が街から逃げ出したため、5日間以内に連れ戻せというものだった。ヒーローは拘束を解かれた代わりに、特殊スーツを着せられる。そのスーツには小型爆弾がいくつも仕掛けられ、ヒーローが女性に暴力を振るうと爆発するようになっていた。ヒーローがバーニスに手を出さないようにするためだ。

 案の定、ヒーローの股間部分に仕込まれていた爆弾が作動し、ヒーローはキンタマの片方を失うはめになる。ヒーローが“去勢”された形で、物語は進んでいく。

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