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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.651

カメラを介して結ばれたユージン・スミス夫妻 ジョニー・デップと美波が共演『MINAMATA』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

カメラを介して結ばれたユージン・スミス夫妻 ジョニー・デップと美波が共演『MINAMATA』の画像1
ユージン・スミスを敬愛するジョニー・デップはプロデューサーも兼任している。

 動画と違って、写真には音声は記録されない。だが、W.ユージン・スミスが撮ったモノクロ写真には、撮影現場のざわめきだけでなく、被写体の言語化されていない心の中のつぶやきまでもがフィルムに刻まれている。言葉にはならない心の声が、ユージンの写真からは聞こえてくる。そんな稀有なカメラマン、ユージン・スミスをジョニー・デップ、年の離れた妻アイリーン・美緒子・スミスを美波が演じたのが、ハリウッド映画『MINAMATA ミナマタ』だ。

 タイトルが示すとおり、この映画の原案となっているのはユージン・スミスとアイリーンが共同制作した写真集『水俣 MINAMATA』。1971年~74年、ユージンたちは熊本県水俣市で暮らし、世界初の公害病「水俣病」で苦しむ地元の人たちの姿を撮り続けた。水俣病の原因は、化学工業の排水に含まれていたメチル水銀。ユージンたちが撮った写真はグラフ誌「LIFE」に掲載され、世界中に衝撃を与えた。

 小さな町で暮らす地元民の中には化学工場や関連会社で働く者も多く、企業側に反対の声を挙げにくかった。メチル水銀で汚染されていると分かりながらも、経済的に貧しい漁師たちは地元の海で獲れた魚介類を食べ続けた。妊娠中の母親が汚染魚を食べていたために、胎児がメチル水銀中毒になるケースも少なくなかった。だが、企業側も日本政府も障害を持って生まれた子どもたちを水俣病とは認めようとしなかった。水俣病患者とその家族たちの声にならない叫びが、写真集『水俣 MINAMATA』からは聞こえてくる。

 映画はNYで暮らすユージン(ジョニー・デップ)が、アイリーン(美波)と出会うエピソードから始まる。日本人の母と米国人の父との間に生まれたアイリーンは、日本のフィルム会社の通訳としてユージンのスタジオを訪ねる。報道カメラマンとしてユージンが人気を誇っていたのは、過去のお話。酒浸りの日々を過ごしているユージンだった。だが、若くて、クレバーなアイリーンのことを、ユージンはひと目で気に入ってしまう。アイリーンとの交際を始め、ユージンは日本には水俣病で苦しむ人たちがいることを知る。

 太平洋戦争時代、ユージンは従軍カメラマンとして沖縄戦などを取材してきた。その際に大怪我を負っている。ユージンが毎日ウイスキーをひと瓶空けるのは、後遺症の痛みを忘れるためだった。カメラマンとしての気力を失っていたユージンだが、情熱的なアイリーンに押し切られるようにして水俣へと向かうことになる。かわいい顔して、アイリーンはかなりのやり手だ。

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