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瀕死状態の洋楽雑誌、にわかにメタルブーム到来?「背に腹は変えられない」厳しい裏事情

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『レコード・コレクターズ』(ミュージック・マガジン)2021年10月号

 いまやすっかり斜陽産業となった洋楽界に異変が起きている。老舗の音楽雑誌が次々と特集テーマとしてヘビーメタルをピックアップ。“にわかメタルブーム”が到来しているのだ。

 先陣を切ったのは、1982年創刊の『レコード・コレクターズ』(ミュージック・マガジン)だ。これまで幅広くロックを取り上げてきた同誌の2021年8月号の企画に洋楽ロックファンはどよめいた。特集の内容は「70年代ハード&ヘヴィ・アルバム・ランキング100」というもの。Kiss、Rainbow、Deep Purple、AC/DC、Van Halen、Aerosmithなど、ハードロック/ヘビーメタル(HR/HM)畑の“騒々しいバンド”が誌面を埋め尽くした。

「『レココレ』はこれまでもQueenやBlack Sabbathなど、HR/HM系のバンドを取り上げたことはありましたが、ここまで大々的にHR/HMを取り上げたのは初めて。しかも9月号は『80年代 アルバムベスト100』、10月号は『90年代 アルバムベスト100』と、3号続けてHR/HMを取り上げたんです」(音楽ライター)

 これまではBeatles、Rolling Stones、ボブ・ディランなどが巻頭特集の常連だった『レココレ』。すると、これに呼応するかのように別の老舗洋楽雑誌もこの流れに乗った。洋楽誌としてはNo.1の売上を誇る『rockin’on』の11月号が、「80年代ハード/メタルを総括!」と題し、やはりHR/HMを取り上げたのだ。

「『rockin’on』は音楽評論家の渋谷陽一が創刊した音楽雑誌で、U2、Red Hot Chili Peppers、Oasis、Radiohead、Green Dayなど、ロックフェスのトリを飾るような王道ロックバンドが得意分野。HR/HMは近くて遠い存在でしたが、11月号でGuns N’ RoseとMetallicaというHR/HM界の2大巨頭バンドを表紙に起用し、HR/HM特集に挑戦しました」(同)

 もともと「ロック」が守備範囲なら、それが少々過激になった「ハードロック」を取り上げても一見、不思議ではない。しかし、この突然の方針転換は、一体どういう風の吹き回しなのか?

「洋楽ロック界は新陳代謝がちっとも進んでおらず、洋楽雑誌が取り上げるアーティストは、いつまで経っても同じ人ばかり。若者たちは完全に愛想を尽かしており、いまや高校生や大学生で洋楽ロックを聞くのはほんの一握りのコアなファンだけ。洋楽雑誌も部数はどんどん落ちており、買うのは40代、50代の中高年です。

 新陳代謝がうまくいっていないのはHR/HMもまったく同じですが、HR/HMファンは忠誠心が強く、特集すると食いつく確率が高い。これまでは『メタル=ダサい』と小馬鹿にしてきましたが、コロナ禍で外国のバンドの来日もなく、取り上げるネタがないので、手っ取り早く金になるメタルに手を出したということでは。メタルを取り上げたことで、おそらく従来の読者はドン引きでしょうが、背に腹は代えられないということでしょう」(エンタメ誌記者)

『rockin’on』が取り上げたGuns N’ RoseとMetallicaのピークは80年代から90年代で、メンバーはまもなく還暦を迎える。「ロック=若者の音楽」という図式が過去のものになったことだけは、間違いないようだ。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2021/10/13 11:00
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