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遅ればせながら現役芸人によるキングオブコント2021評

マヂラブのネタ一般的には微妙な評価も一歩違えば決勝進出もあった?

文=吉松ゴリラ(よしまつ・ごりら)

ニッポンの社長のネタは、コントの新たなパターンを作る?

男性ブランコ「ボトルメール」

 海に流したボトルメールきっかけに、出会う男女を描いたコント。

 ロマンチックな設定で出会った女性が、尋常じゃないほどクドい関西人というツカミが秀逸。

 女性側は、視聴者の描いた「清楚で透明感のある人であって欲しい」という女性像への裏切り。通常その状況にツッコむコントが一般的な中、受け手側の男性も「その性格が好き」という、感情による裏切りボケをする。

 後半妄想から現実へ移行する、ネタを二重構造にした伏線回収の畳み掛けも秀逸。今回のような劇中劇は見ている側に強烈なリセットがかかるので、その後ウケ切るのが難しい。そのため次のボケが最初のツカミ以上に重要だが、リセットされた緊張感を上手く使ったテンドンの構成にして、更にもう一段階上の爆発を起こしている。

 高い台本力と、それを体現する技術力がないと成立しない、演者の力量が推し量れる非常にレベルの高いネタとなった。

うるとらブギーズ「迷子センター」

 迷子になった子供の父親と、迷子センターの職員のコント。

 日常を切り取る系コントの、最高峰ともいえる状況設定を用意したネタ。「迷子の呼び出しアナウンス」という絶対に笑ってはいけない状況で、職員がどうしても笑ってしまうという切り口が秀逸。

 異質なキャラが出る訳でもなく、設定で裏切る訳でもない。全く無理のない日常設定の中、ごくごく自然な流れで緊張と緩和を生む環境を用意。この状況設定を思いついた時点で、既に名作になる事が決まったと言っても良い程、ハイクラスな状況設定。

 また、物語への視聴者の引き込み方も秀逸。前半父親が過剰な程焦っている演技で伏線を張る事により、後半へ緊張感を持続させての緩和。視聴者が、焦る父親にも笑う職員にも、双方へ感情移入できる日常系コントの理想のようなネタ。

 ちなみに「笑ってはいけない状況で、笑いそうになる」職員の緊張感を、ものの10秒で視聴者に伝え切れる演技力も非常に高レベル。この緊張感を完全に伝え切れるかどうかは、後半の成否を決めるキーポイントであるが、明確なセリフのボケでもなく空気感の伝達に近いため、相応の演技力がなければ視聴者に伝わらない。名作コント。

ニッポンの社長「バッティングセンター」

 バッティングセンターにきた青年と、バッティングフォームを教えにくるおじさんとのコント。

「登場人物のおもしろさ」を中心に据えるのではなく、「起こっている現象のおもしろさ」を中心に据えるコント。

 日常から非日常への入り方が、抜群にうまい。バッティングセンターで知らないおじさんがバッティングフォームの指導をしてくるという日常から、指導しながらボールに当たり続けるという非日常へスライド。その非日常に対しオーバーリアクションはせずにあえて抑えめなリアクションをとる事で、より異質な現象を際立たせる事に成功している。

 ちなみにテレビサイズで見る、現在のコントの主流は以下の2パターン。

・「日常の設定で、設定の切り口を見せる」:ex)さらば青春の光 …など
・「日常の設定で、非日常のおかしいキャラがでる」:ex)バイきんぐ …など

 両者とも展開はあれど日常の設定で完結する事が多く、これは最初共感を得る日常から始める事により、そこからのズレであるボケがウケやすくなるからである。

 ただ今回のニッポンの社長のコントはどちらにも類せず、「設定自体を、“日常から非日常へスライドさせる”」コント。

 通常賞レースでは、設定の「日常→非日常」への移行はほとんど見られない。なぜなら5分尺で行うにはどこかに無理が生じたり、それによりお客さんを置いてけぼりにしてしまうからだ。

 それを計算された動きだけでこれほどスムーズに移行できるのは、ズバ抜けたセンスによるもの。更に言うと「日常→非日常」コントのお手本となるフォーマットを大舞台で公開した事により、今後もうひとつの主流を産むのではないかと思わせるほど、超良質なコント。

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