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『家、ついて行ってイイですか?』ジョニー・デップよりもデップしてる、本人超え“和製ジョニー・デップ”登場!

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『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)

 10月20日放送『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、題して「それぞれの人生! 幸せ掴めるかSP」であった。ちなみに、今回のゲストはチョコレートプラネット。この日、彼らは『有吉の壁』、『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』(共に日本テレビ系)からのはしごで『家つい』にも出演するという出ずっぱりだった。売れに売れている。

芸歴14年の女性芸人「いじめから救ってくれたお笑いに恩返ししたい」

 番組ディレクターは渋谷で開催されたお酒飲み放題のイベント「酒フェス」に出向き、取材させてくれる人を探すことに。このVTRはもちろんコロナ禍以前、2019年に撮った映像だ。コロナがなかった世界に戻りたい……。

 ここでスタッフが声をかけたのは、30代の女性二人組。コールセンター勤務で31歳のユイさんと、水商売に従事する33歳のレイさんであった。「家、ついて行ってイイですか?」と尋ねると、どうやらユイさんのお宅はOKのよう。というわけで、目白にあるという彼女の自宅へ向かうことに。その道中で、二人の間にこんな会話があった。

レイ 「でも、三日月はさぁ~」
ユイ 「うん」

「三日月」とは、ユイさんにつけられたあだ名である。彼女は体勢を変え、横角度からの顔をスタッフに見せてくれた。こう見ると彼女はあごがしゃくれ気味で、横顔が三日月に似ていた。それにしても、随分なあだ名である。

「でも、可愛いじゃないですか。豚とかだったら悪口だけど、三日月だったら可愛いじゃないですか。ねえ?」(ユイさん)

 どうやら、三日月はいいヤツらしい。そんなこんなで、彼女の自宅に到着。豊島区の築35年2DKで、家賃は5万5千円とのこと。ちょっと安すぎるのでは? 気になったのは、家の玄関にお札が置かれていたことだ。家主であるユイさんは告白する。

「家で心霊写真が撮れたんです(笑)」(ユイさん)

 彼女はiPhoneにある写真を見せてくれた。曰く、家では霊が写る写真がバンバン撮れるらしい。家賃が安いのは事故物件だからか? いや、これは彼女の体質だそうだ。

「霊媒師の人に見てもらったら『50体くらい憑ついてる』って(苦笑)」(ユイさん)

 50体! 笑いごとじゃないけど、ちょっと笑ってしまった。霊が憑きやすい彼女の体質は仕事にも影響しているらしい。

「コールセンターで仕事をしてるんですけど、同期の人はクレームを引かないのに私ばっかり引くんです。普通の電話が入ってこない(笑)」(ユイさん)

 ふと部屋の角に視線をやると、コルセットが無造作に置いてあるのをスタッフは発見した。彼女が通販で1,900円で購入したアイテムらしい。お腹にこれを巻いてギュッとするとウエストはくびれ、バストが強調されるのだ。確かに、巻いたら“ドカン!”と胸が大きくなった。

「でも、跡がすっごいつくんです。『今日ゴールインするな』と思ったら3時間前にとって、(お腹をさすりながら)赤い跡はこうやってとる。お酒を飲んだら体温が上がって跡は消えるから」(ユイさん)

「ゴールイン」って何なのか? 結婚じゃなくてベッドインのことだろうか? でも、お酒を飲んだら逆にかゆくなりそうなんだけど……。

 さらに、スタッフは別のアイテムも発見してしまう。こちらは美容器具で、お腹のセルライトを落とす装置である。この装置の使い方を実際に彼女は見せてくれた。服をまくり、お腹に器具を当ててなぞるユイさん。

「ここに頸動脈があるんで、頸動脈のあるところにリンパを斜めに流して」(ユイさん)

 いや、頸動脈は首にあるものでお腹にはないはずだが……。というか、頑張る方向性を間違えている気がする。毎日そんなことをするくらいなら、潔く腹筋すればいいのに。焼け石に水。だって、彼女のお腹がすごいのだ。ダルンダルンだ。

「でも、『これがいい』って言うおじさんが多いんです(笑)」(ユイさん)

 そんなに、普段からおじさんとコミュニケーションしているのか……。体質もお腹も私生活もさらけ出すスタイルのユイさん。友だちにいたら楽しそうな女性だ。

 ふと本棚に目をやったスタッフは鬼束ちひろの書籍を発見した。ユイさんは鬼束ちひろの大ファンだそう。つまり、霊が50体憑いている鬼束ちひろ信者である。さらに、本棚の上に乗せた袋には鬼束のリップ跡がついたカードが保存されていた。

「鬼束さんのライブに行ったときにイベントをやっていて、会った瞬間に感動で泣いちゃったんです。そしたらこれに唇をつけて、『これやるから元気出せよ!』ってハグをしてくれて。それから、『この人のモノマネは一生やろう!』と思いました」(ユイさん)

 ん、モノマネ? 実は、ユイさんはコールセンターで働きながら「ミカヅキ上田」という名前で活動している芸人であった。芸風は下ネタかモノマネで、芸歴は14年とのこと。自分でお金を払って出させてもらうライブが月1本あるという活動状況らしい。

 彼女がお笑いの道を志したのには、理由がある。小中高とユイさんはいじめられていた。登校すれば「しゃくれが来たぞ!」と言われ、彫刻刀で机に「死ね」と彫られたり。あるとき、校舎の3階の窓を拭いていたら後ろから男子に背中を押され、そのまま地面に落下したこともあった。生きていること自体を否定するようないじめだ。いや、違う。それはいじめじゃなくて殺人未遂だ。

「唯一の救いがお笑いでした。お笑いを観ているときだけは『アハハ』って、笑ってるときだけは辛いことを忘れちゃうんですよね」(ユイさん)

 ユイさんにはきっかけを与えてくれた芸人がいる。2004年に解散したコンビ「チャイルドマシーン」の樅野太紀。雑誌「お笑いポポロ2」が行ったチャイマシのインタビューを読むと、そこには樅野のこんな発言があった。

「大阪の大学に行ってるとき一人暮らしをしたんですけど、突然引きこもりになってしまったんです。毎日どうやって死のうかなみたいなことを考えてましたし(笑)。でも、ある日テレビをつけたら芸人さんがネタをやってて、それを見て思わず笑っちゃって。僕みたいな奴が他にもおるはずやから、今度は笑かす側になろうと」

 これを読んでユイさんの生き方は変わった。「こういう考え方もあるのか。私も見てる側じゃなくて見せる側に回ろう!」という天啓である。その後の彼女は23歳で上京して、NSCに入学。他の各芸能事務所のオーディションも受けたが、結果は連戦連敗だった。「ネタの構成ができていない」とダメ出しを受ける毎日。現在のミカヅキ上田はフリーの無所属芸人という立場だ。

「正直、(自分は)向いてないと思います(笑)。でも、命を救われたっていう恩があるから恩返ししていきたい、お笑いには」(ユイさん)

 以前は口元から顎にかけて手で隠しながら会話していたというユイさん。でも、今は彼女にとって芸人としての武器だ。

「人より笑わせやすいんです、このアゴがあるおかげで」(ユイさん)

 最後に、ユイさんはネタを見せてくれた。サングラスをかけ、振り向いて横顔を見せてアゴを強調するだけの「X JAPANのToshI」という芸。振り向いただけなのに絶対吹き出してしまうやつだ。スタジオにいる司会のおぎやはぎ・矢作兼は思わず「ずるいよー(笑)」とコメントしたが、同感である。振りだけで百発百中の笑いをとるこのネタはずるい。

 ユイさんがあけっぴろげに何でもさらす理由がわかった。すべてを笑い飛ばし、誰かの糧になりたいから。それにしても、2021年にチャイルドマシーンの話題が聞けるとは驚いた。

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