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「慰安婦論文」と問題国際化の背景

米国教授の「強制」否定論が大批判 国際問題化する慰安婦論の最前線

国内の「慰安婦」論争は「我々が勝利した」との認識

 そして10年代には、アメリカを始めとした諸外国で慰安婦関連の像や碑といったモニュメントが建ち始める。13年に市有地の公園内に少女像が建てられ、右派による撤去運動が激化して訴訟も行われたカリフォルニア州グレンデール市は、その象徴といえる場所になった。

 その前後から右派による報道では、歴史修正主義的な自分たちの主張を広める活動が「歴史戦」と呼ばれ、米国が「主戦場」と呼ばれるようになったそうだ。

「『歴史戦』という言葉がそうした文脈で初めて使われたのは12年の12月。第二次安倍内閣の組閣を伝える記事が1面を飾ったその日の朝刊に広告が掲載された『正論』13年2月号(産経新聞社)の記事でした。つまり右派の『歴史戦』は、安倍晋三の総裁復帰を追い風に始まったものといえるでしょう。また右派の海外攻勢が強まった背景には、14年に朝日新聞が、吉田清治の証言による慰安婦問題の記事の一部に虚偽があったことを認め、その撤回を行ったことも大きいです。その頃から右派の間では『国内における慰安婦の論争は我々の勝利に終わった』という認識が定着しています」(能川氏)

 なおアメリカなどの諸外国で、慰安婦のモニュメントの設置を主導したのは、韓国系住民のケースもあれば、中国系住民が中心にいたケースもあるという。

「そうした運動では、日系人を含むほかのアジア系アメリカ人や、それ以外の住民にも一定の支持の広がりが見えました。慰安婦像建設の動きがあった地域には、右派団体や日本政府から強い圧力がかかりましたが、それでも実際に像が建つことがあったのは、人種や民族を超えた支持が広がっていたからともいえます」(山口氏)

 なおグレンデール市の少女像を巡っては、市近郊に住む原告らが撤去を求める訴訟をカリフォルニア州の連邦地方裁判所に起こしたが、請求は棄却。連邦最高裁判所への上訴でも棄却され、敗訴が確定した。

 また朝日新聞を相手にも国内で訴訟が行われたが、18年に原告側の敗訴が確定。「朝日新聞の慰安婦に関する報道で誤った事実が世界に広まり名誉を傷つけられた」といった主張は認められなかった。

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