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オアシズが女性芸人の変化の潮目だった!? 男化せずに自分らしい笑いを貫いた功績

自分らしさを押し出したオアシズの功績

 話しは戻って、かつて体を張った芸が基本だった”女芸人”がどのように”女性芸人”へと変化したのか。あるコンビの存在が大きいと僕は思っている。それはオアシズだ。

 7月に放送された『アメトーーク!』の「行ってらっしゃい光浦さん」という企画の中で森三中の黒沢さんが光浦さんに対し、男社会の中で20代前半からずっと戦ってきたと。これは本当に凄いことで、光浦さんがテレビに出だした93年辺りは今のテレビよりも男社会であり、相当風当たりが強かったはずだが、負けることなく戦い続け、誰もが知る存在となった。そして相方の大久保さんも同じくらい凄い。光浦さんより遅れること6年。99年から『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)に出演し始めたのだ。

 6年という歳月は視聴者にとって光浦さんを芸能人にし、大久保さんを素人同然にした。しかしその逆風に負けることなく、いつの間にか光浦さんに追いつき、そして大久保さんひとりでも活躍する位置までになった。

 そしてお2人は従来の女芸人とは異なり、いじられやすい見た目だけで勝負するのではなく、清潔感のある外見とこだわりある髪型やファッションを取り入れることにより、独自のスタイルを築いた。そうした努力により、次第に他の”女芸人”も女性らしさを無理やり封じ込める風潮が消え、今の“女性芸人”という形を構築したのではないだろうか。

 ちなみにだが、光浦さんは東京外語大出身。読書家で知的なイメージがあり、現在はカナダへ語学留学中だ。また年齢を感じさせない陶器のような美肌を保っており、スキンケアや美容法にも注目が集まっている。

 大久保さんは酒好き男好きを豪語し、仕事終わりに女性芸人と飲み歩いたり、家でおつまみを作ってしっぽりワインを嗜む姿が度々放送されている。自分で稼いで自分に投資する。何事にも縛られない自由なライフスタイルは、洗練された大人の女性の象徴だ。

 男女平等や女性の社会進出、幸せの多様化が唱えられる現代で、精神的にも経済的にも自立し、社会へ貢献し承認され、自身で選択した人生を謳歌する。オアシズの存在そのものに、女性の憧れが全て詰まっていると言っても過言ではない。

 ただ、間違えて捉えて欲しくないのは、体を張ること=古いスタイル、になったわけではない。ただMUSTではなくなっただけだ。女性が芸風や表現したい個性を自由に選択出来る環境に変わったという事。もちろん本人の希望があって需要と一致するならば、イモトさんのように体を張っても良いと思う。そして同時に好きな服を着て好きなメイクをして仕事をする。社会で働く女性と同じように。

 これぞ芸人の進化した形、ハイブリット芸人の姿なのかもしれない。

 最後に、最近アンケートなどの入力フォームにある性別欄に男性・女性だけではなく「その他」という選択肢がある。いつか”女性芸人”という言葉すら無くなる時代が来るのかもしれない。そんなことを考えながら、秋の夜長に独りノンアルコールワインを嗜む檜山であった。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2021/11/28 13:00
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