『青天を衝け』大総括! 渋沢や慶喜のクリーンな描かれ方は「大河の朝ドラ化」!?

文=堀江宏樹(ほりえ・ひろき)

──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

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ドラマ公式Twitterより

 『青天を衝け』が昨年12月26日についに最終回を迎えました。初回から最終回までの期間平均視聴率は14.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)。悪くはない数字ですが、最終回に近づくほど、“歴史ドラマ”というより、まるで文科省推薦の“教育映画”のような空気が醸し出され、それが視聴率の数字の減少に表れてしまった気がします。

 第1回の20.0%が最高視聴率となり、それを上回る回が以降なかったのも残念でした。ただ、筆者の考える近年の大河ドラマの“合格点”といえる15%前後の数字をずっと維持できたのは、脚本担当の大森美香先生の筆力に一定の評価があったから、ともいえるでしょう。

 大河ドラマは歴史的事実をベースに構成されます。それでも1年間にわたって視聴者にドラマを見続けてもらうには、歴史的事実の間の空白を創作要素で巧みに埋める必要があります。大森先生は “歴史のツボ”をきっちり押さえた筆運びで、史実と創作のバランスを取りながら描いておられました。徳川幕府を瓦解させた「明治維新」の後の世が、決してバラ色の世界だったわけではないという事実にもしっかりと言及していたことはよかったと思います。ただ……少々厳しい言い方になりますが、物語が進むにつれ、最初に想像していたよりもやや「低め安定」というか、予定調和の中で話が完結してしまったといえるかもしれません。

 制作陣の方々が、「偉人伝」として『青天』を終えるつもりであることは、初回放送時、オープニング映像を見た時から予感がありました。『青天』のオープニング映像はクラシックバレエをベースにした振り付けで、ダンサーたちと渋沢栄一こと吉沢亮さんが踊ります。映像の中でも紆余曲折あるのですが、ダンサーたちは渋沢を中心に“円”を描いてまとまっていきます。クラシックバレエの振り付けにおいて円は調和のシンボルなのですが、ドラマもまさにそういう感じで終わりました。良きにつけ悪しきにつけ、思っていたとおりになったなぁ~というのが『青天』を見終えての素直な感想です。

 『青天』放送開始前、渋沢栄一といえば、徳川慶喜や坂本龍馬といった同時代の人物の知名度・人気に比べると、あくまで“知る人ぞ知る偉人”に留まっていたと思われます。あるいは“夜の方面”にだけ面白い話がある艶福家のイメージも強かったかもしれません。そんな渋沢を爽やかな好男子として描ききった大森先生の筆力は凄いと思うのです。ただ……この連載でも何回か触れましたが、渋沢の“夜の方面”の話題がほとんど出てこなかったことにより、人間ドラマという観点からは物足りなさが残る仕上がりとなった気もします。

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