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ネットニュース編集者・中川淳一郎が総ツッコミレビュー!

黒木華ドラマ『ゴシップ』2話、あんな編集者は「ありえねぇ~」けど細部はよくできてる!?

文=中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

黒木華ドラマ『ゴシップ』2話、あんな編集者は「ありえねぇ~」けど細部はよくできてる!?の画像1
『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)公式サイトより

 木曜10時の連ドラ『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(フジテレビ系)が開始したが、舞台は大手出版社のネットニュース編集部。この設定を聞いた瞬間、「そんな地味な仕事が連ドラになるなんてアリかよ!」と驚愕してしまった。石原さとみ主演の『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)以上の衝撃である。

 これを受けて日刊サイゾーのT編集者より「中川淳一郎さん、アナタ、このドラマを最終話まで見てネットニュース編集者としてのツッコミを毎週書きません?」と言われたので「がってんでぃ!」とばかりにこの仕事を私は開始したのである。これからビッシビシ、ツッコミを入れていくからな。

 ストーリーは、大手出版社「クスノキ出版」が有するコタツ記事制作の弱小ニュースサイト「カンフルNEWS」に経理部から瀬古凛々子(黒木華)が異動してくるところから始まる。凛々子はとにかく何事もストレートに言ってしまう癖があるのと、常に辞書を携帯し、言葉の正しい意味を要求する堅物でもある。そんな彼女のミッションは、月間50万PVの同サイトのPVを5000万PVにすること。第1話で編集長の生瀬勝久が早期退職することが発表された。さぁ、期待の第2話開始! というところから私は見始めた。なんと、凛々子が編集長になっているのである。で、私のツッコミを入れる前にT編集者による第一話に対するツッコミを紹介しよう。

・どんなゴシップサイトでも、さすがにまとめ記事(ツイッターの書き込み)をネタモトにして企業のパワハラ疑惑記事は書きません。以上。
・大手出版社のメディアならなおのことでは……。
・芸能事務所さんなどから内容証明が届くのはまああることかもしれません(笑)。
・5人も編集部員がいていいな(日刊サイゾーは3~4人です)。
・ネットニュースの「PV至上主義」はやや古く、ある程度の自浄作用が働いてます。コタツ記事も淘汰される傾向にあり、コンテンツの中身を重視する傾向にあるのでは。Googleやポータルサイトの機嫌を損ねたくないからともいえますが……。

 間違いなくどこかのニュースサイトへの徹底取材を基にこのドラマは作られているが、実際の現場で奮闘するT編集者の目から見たらこのように映ったというわけだ。さて、第2話に対するツッコミをするが、ここで凛々子以外の編集部員の紹介を。

根津道春(溝端淳平):カルチャー系
下馬蹴人(野村周平):コタツ記事とスポーツ系
椛谷静司(野間口徹):タイアップ等
一本真琴(石井杏奈):新人なので特に得意技はなし

 詳しいストーリーについてはいろいろなコタツブログやコタツニュースサイトが出しているのでそちらを参照してくれ。まず、言いたいが、たかだか月50万PVのサイトに5人もの専属の正社員(多分)がいるというのは異常である。この点についてはT編集者と同意見だ。何しろ、私が2006年、サイバーエージェントのアメーバニュースの編集者になった時、いたのはサイバーの社員2名(うち1人は事業責任者のため編集はせず)と、私ともう1人のフリーライターの4人体制だった。2010年の小学館・NEWSポストセブン発足時も事業プロデューサーは専任だったが、他の社員は全員が雑誌との兼務。私を含めた3人のフリーライターが入っただけだ。どう考えてもド赤字部門に5人もの社員がいること自体がとにかく違和感ありまくりなのだ。

 さて、第2話へのツッコミに入るが、この回では、離婚を発表した俳優が円満離婚を強調するもそこに疑問を抱いた凛々子がメディア囲み取材でその俳優に質問をぶつけるシーンがある。凛々子が「最後に性的関係を持ったのはいつか?」と聞くことにより、他のコタツ記事サイトから「女性記者がゲス質問」といった記事を作られてしまう。この点については、「そりゃそうなるわな」と、なかなかリアリティがあるではないか。

 その後、「週刊文春」(文藝春秋)をイメージしているであろう「週刊東西」が「円満離婚は嘘か? 前橋恵一がグラドルと過ごした裏切りの夜」という記事を出し、「さすが東西!」といった展開となる。しかし、さらに裏があると考えた凛々子は、グラドルのSNS投稿からとある疑惑を発見し、事務所に突撃。さらには、不倫俳優・前橋恵一の妻の元女優をも直撃し、最後はグラドルとその元女優が編集部に来て真相を明かす、という展開になる。

 優秀な凛々子はおそらく、クスノキ出版のエラい人・仁和(安藤政信)から大事なミッションを与えられ、編集部に入ったのだろうが、このあたり、『特命係長只野仁』っぽさを感じる。だからこそのこの行動力と相手から本音を引き出す力があるのだろうが、それにしても優秀過ぎる。むしろ「週刊東西」に引き抜かれるべき逸材である。

 第2話に関しては、あまりにも凛々子が優秀な点と、芸能人がわざわざ編集部に出向いて真相を話す、というのが「ありえねぇ~」と思ってしまった。さらに、最大の違和感については、「ほぼすべてのネットニュースサイトに取材能力はない」という事実だ。

 理由は、多くの芸能スクープについては、週刊誌の編集部が見つけてくるもので、それをネットに転載するからである。そしてそうしたスクープ術を知っている記者・編集者がネット独自記事でスクープを先出しし、その後紙メディアで詳細を掲載するものである(もちろんネット独自スクープもあるが)。そう考えると、実際に日本のニュースサイトでスクープ力があるのは以下であるといえよう。例外はあるものの、ほぼ全て、以下である。

 文芸春秋社(文春オンライン)、新潮社(デイリー新潮)、講談社(現代ビジネス・FRIDAYデジタル)、小学館(NEWSポストセブン)、主婦と生活社(週刊女性PRIME)、光文社(smartFLASH・女性自身)、集英社(週プレNEWS)

 クスノキ出版は大手出版社のため、おそらく週刊誌部門はあるだろう。そこが芸能スクープは取ってくるはずで、実に凛々子のやり方は効率が悪いのだ。野村周平が演じるコタツ記事のエキスパート・下馬のようにコタツ記事を量産した方が効率がいい。そしてコタツ記事を量産する力はあるわけで、しかも入社倍率がとんでもなく高い大手出版社の社員が編集者を務めているというのに、50万PVとはヒド過ぎる。ここらへんがツッコミポイントである。

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