フラット芸能

「ただ言いたい放題の傲慢な人」ではなかった?記者が見た石原慎太郎の横顔

文=城下尊之(しろした・たかゆき)

「ただの言いたい放題の傲慢な人」ではなかった?記者が見た石原慎太郎の横顔の画像1
石原慎太郎(写真/Getty Imagesより)

ベテラン芸能リポーターの城下尊之氏が、とかくあおり・あおられがちな芸能ニュースをフラットな目線で、おちついて解説!

――2月1日、元東京都知事で芥川賞作家の石原慎太郎が亡くなりましたね。享年89歳。2021年10月にすい臓がんが再発し、闘病していたそうです。

 石原さん、僕は3回くらい単独で取材したことがあります。自宅前で待っていて「取材いいですか」と声を掛けたら、「いいよ。だったら中入れよ」と入れてくれました。

――自宅に入ったんですか!

 田園調布の高級住宅街にある豪華な一軒家でしたね。

――取材はどうだったんですか。いつものあのエラそうな調子でした?

 いや、僕にとっての石原さんはいいイメージしかないですよ。確かに都知事の定例会見だと、記者に対していつも上から目線で逆質問するなどしていたけれども、僕が取材したときは選挙を何カ月後かに控えているという時期。選挙を視野に入れているので、「何でも話すよ」とやさしく丁寧にしゃべってくれました。参議院議員1期、衆議院議員9期、東京都知事4期を歴任してきた人ですから、イメージ作りは巧みでしたね。

――へえ、そういう人なんだ。

 都知事時代はカラス駆除のため「カラス対策プロジェクト」に乗り出しましたが、その理由を「カラスの鳴き声がうるさくて朝寝てられないからだ」と言っていました。もちろんそれは照れ隠し。カラスが増えすぎてゴミを荒らしたり、子どもの頭を突いたりと被害が多発していたんです。石原さんのおかげでカラスが減って都民はよかったと思っているはず。

 ディーゼル車の排ガス規制をめぐっては、やはり「ディーゼル車を都内に入れたら俺の健康に悪い」と照れ隠しで言っていましたが、国の対応を「怠慢」と批判し、ペットボトルに入った煤(すす)を示して、「都内で1日にこのペットボトルが約12万本出ている」と訴え、03年に国に先駆けて規制を行いました。

――エラそうなだけじゃなく、ちゃんと都民のことを考えていたんですね。

 2011年に発生した東日本大震災による東京電力福島第1原発事故では、放水作業のために東京消防庁ハイパーレスキュー隊員を派遣。戻ってきたときに涙を流しながら「本当にありがとうございました」と感謝していました。

 災害廃棄物の受け入れについては「がれきを燃やして放射性物質が排出されたらどうするんだ」と抗議や苦情が殺到。大阪では橋下徹大阪府知事(当時)が放射線量の数値を示して一生懸命説明していましたが、石原さんは「(放射線量を)測って、なんでもないものを持ってくるんだから『黙れ』と言えばいい」と一喝。「皆で協力して力があるところが手伝わなければしようがない」「皆、自分のことばかり考えている。日本人がだめになった証拠だ」とも語っていました。

――東日本大震災にあたっては「津波は天罰」という失言もありましたが。

 それは「被災された方には非常に無残な言葉に聞こえるかもしれませんが」と前置きした上で、「日本に対する天罰」という意味で言っていたんです。マスコミは「天罰」という部分だけをピックアップして報じていた。まあ、誤解されやすい言い方をする人であり、だからこそいろいろな記憶を人々に残した人でもあるわけですが、ただの言いたい放題の傲慢な人ではないということもわかってあげないと。俺の中ではおもしろい人でしたよ。

――なかなかいない人物であることは確かですね。

城下尊之(しろした・たかゆき)

城下尊之(しろした・たかゆき)

立教大学在学時から、サンケイ新聞でアルバイトを行っていた経緯から、卒業後、サンケイスポーツへ入社。スポーツ紙文化部記者となった初日で見習い経験もないうちに、他に大きな事件があったため、「(故)林家三平さん、大病から復帰!」という大事な現場を任された。退社後は、TBS『奥様8時半です』のデスク担当として勤務し、その後、芸能リポーターに転身し、現在に至る。独自に身につけてきた取材能力、ブレーンの作り方等から、芸能界の裏話を交えた、楽しい味付けで話す。

【プロフィールページ】

最終更新:2022/02/05 17:00

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