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COWCOWはインドネシアで“2度目”のブレイク

TikTokで世界的バイラルヒット飛ばす日本の芸人、カギは「目的のない回遊」?

「見知らぬ日本人がやってるけど、なんかハマる」

 TikTok上で世界的な人気を呼んでいる彼らの特徴を挙げるとすれば、視覚的なネタや音ネタでノンバーバル(非言語的)な笑いを追求している点だろう。またCOWCOWのように、持ちネタのインドネシア語翻訳を現地在住の日本人ミュージシャンが務めることによってオリジナルの持つ“癖”を損なわせないといった工夫を施しているあたりも、ユーザーが何度も再生したくなるポイントをうまく作っていると言える。

 TikTokは全世界でインストール数30億を突破(2021年7月発表時点)、今年中には月間ユーザー数がFacebookとInstagramに次いで第3位となるとも言われるモンスターアプリだけあり、近年ではムーブメントの発端となる事例が後を絶たない。

 例えば、瑛人の「香水」や優里の「ドライフラワー」、Adoの「うっせぇわ」といった楽曲は、TikTok上でBGMとして盛んに使用されたことがきっかけとなってバイラルヒットへとつながっていった代表的なケースだろう。

 当然ながらこういった現象は世界規模でみられており、昨年のグラミー賞で新人賞を獲得したミーガン・ジー・スタリオンのヒット曲「Savage」は、同曲に合わせて踊る「Savage チャレンジ」がTikTokで流行したことで話題となった。最近ではTikTokに合わせた楽曲製作や振り付けなどを取り入れることも、ヒットメイキングにおけるひとつの主流となって久しい。

 また音楽シーンだけでなく、意外な分野でTikTokが流行の火付け役となることもある。
例えば昨年、小説紹介クリエイターのけんご氏が、約30年前に出版された筒井康隆著『残像に口紅を』(中公文庫)をTikTok上で紹介したところ、同書のリバイバルヒットを呼び11万5000部の増刷が決まったことがあった。

 また、大塚製薬のロングセラー商品「ファイブミニ」がダイエット系TikTokerに紹介されたところ、その評判が瞬く間に拡散され、販売数が突如2倍となるといった出来事も。

 こうしてジャンルや国に関係なくいたるところでムーブメントを起こしているTikTokだが、ある調査によれば、TikTokユーザーは他の主要SNSサービスと比べて「目的なく開く」「たまたま面白いモノに出会えるから開く」と回答する者が圧倒的に多いのだという。

 この特徴を踏まえると、日本の芸人によるオモシロ動画が海外で人気になるといった一見不思議にも思える現象も、海外のTikTokユーザーが「目的のない回遊をしつつ、新たな興味と出会う」ことを求め、「見知らぬ日本人がやってるけど、なんかハマる」モノと出会ったことで興奮や満足感を得たことがもととなって発生していると考えられるかもしれない。

 世界規模でユーザー数を増やし続けているTikTokは、カルチャーシーンにおいて大きなカギを握る場となっている。その影響力を考えれば、劇場やTV、またYouTubeだけではなく、TikTokも芸人が活躍する舞台として今後さらに重要視されていくことだろう。

菅原S(編集者、ライター)

編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。

すがはらえす

最終更新:2022/02/12 07:00
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