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中国軍が台湾に侵攻しても米軍は動かない? あえて明かした蔡英文総統の危機感

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蔡英文総統(写真/Getty Imagesより)

 台湾に米軍は駐留しているのか? ここ数年来緊張が高まる米中関係を考えれば、当然、中国軍の台湾進攻に備え、米軍から軍事顧問団程度は派遣されていると考えるのが妥当だが、それは「あくまで秘密裡に行われているもの」と常識のある人間なら考える。

 しかし、台湾の蔡英文総統は2021年10月27日放送の米CNNとの単独インタビューで、あっさりと米軍が台湾に駐留している事実を台湾のトップとして初めて認めた。https://edition.cnn.com/videos/world/2021/10/27/china-taiwan-president-intv-us-troop-presence-ripley-vpx.cnn(米軍の台湾駐留を認める蔡英文総統の発言は3分40秒から)

 蔡総統は「皆が考えているより多くない」との表現で実数は明らかにしなかったが、CNNによれば、18年時点で10人だった台湾駐留の米軍人は21年には32人に増加した。

 蔡英文はまた同インタビューで「私は確信している」との表現で、もし中国が台湾を侵攻したら米軍が介入するとの見方を示した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版の21年10月8日付の記事も、米政府当局者の話として、少なくとも1年以上前から米軍の特殊作戦部隊と海兵隊の小部隊が極秘に台湾に派遣され、台湾軍の訓練に当たっていると報じた。二十数人の特殊作戦部隊と支援部隊が、台湾軍の中国軍上陸阻止の訓練に当たっているという。

米国の本気度は? 蔡総統の一方的片思いか?

 小規模な人数ながら、特殊作戦部隊と海兵隊という米軍の精鋭が訓練に当たっているのは、予想される中国の台湾侵攻に備え、台湾陸軍の防衛力の底上げを狙っているからなのだろう。一方で、米国が精鋭の小部隊派遣による訓練を実施しても、それはあくまで米国が台湾にコミットしていることを台湾政府当局者に示すためで「必ずしも台湾が中国に攻撃を受けた場合の米軍の軍事介入を保証するものではない」(防衛省関係者)との見方もある。

 79年に制定された米国の台湾関係法は台湾に自衛手段を提供することを義務付けているが、中国が台湾侵攻した際の対応をわざと明確にしていない。米政府はこの「戦略的あいまい政策」と呼ばれる姿勢を長年にわたり取ってきた。

 だから、バイデン大統領が21年10月21日、CNN主催の米メリーランド州ボルティモアの対話集会で、台湾が中国から攻撃を受けた場合に、米国が台湾を防衛するかどうかの問いに「もちろんだ。その責任がある」と発言すると、翌日22日、ホワイトハウスのサキ大統領報道官は「政策に変更はない」と即座に述べた。今後も中国台湾侵攻の際の対応を明確にしない「戦略的あいまい政策」が維持される点を強調して、前日のバイデン発言の火消しに走った。

 一方の中国外務省の汪文斌副報道局長は同28日の会見で、米軍の台湾駐留を「米国と台湾のいかなる形式の公的往来、軍事関係にも断固として反対する。米国の中国内政への干渉にも反対する」と激しく反発した。

 蔡英文総統は、中国が台湾を攻撃した際の米軍の介入を信じているらしいが、どうやら一方的な片思いという見方が強いようだ。

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