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『ねほりんぱほりん』社員を“リストラ”と“死”に追い込んだ非人道的なノウハウ

リストラを“する側”が“される側”に回る因果

 ソウタさんは、リストラしたある40代の男性からストーカー行為を受けたという。会社帰りに待ち伏せされては「よっ、今日もクビ切ったの?」と声をかけられ、同じ電車に乗り込まれては「彼女いるの?」「普段、何してんの?」「趣味は?」と質問攻めにされた。

「とにかく自宅だけはわかられないように遠回りして、逃げることに必死でした」(ソウタさん)

 この付きまといは約1カ月で終了した。しかしある日、家のポストを開けると三つ折りにされたA4サイズの紙が入っていた。中を見ると、そこにはソウタさんの本名だけが書かれていた。家が特定されたのだ。

「刺されるなと思って、すぐに引っ越しました」(ソウタさん)

 リストラは“される側”だけでなく“する側”の人生も狂わせる。「リストラ担当」は、いわば「恨まれ担当」でもある。もちろん、会社は守ってくれない。つまり、ソウタさんたちは使い捨てだ。リストラは人事部だけの権限で行えるものではなく、そういう意味で担当者も被害者である。それどころか、「リストラ担当になった彼ら自身、実はリストラ対象者だったのでは?」なんてことまでよぎった。

 その後、会社の人事方針に疑問を持つようになったソウタさんは「労務に関する知識を身に着けたい」と働きながら社会保険労務士を目指し、1年後に見事資格を取得。務めていた会社を退職し、社会保険労務士に転職した。それからは、某企業の就労規則や人事制度を変える仕事をしていたが……。

「今度は、自分がリストラされました(苦笑)」(ソウタさん)

 大型の台風が直撃した際、会社から社員に「家で待機してください」等の連絡が一切なかった事実にソウタさんは激昂。管理部門に詰め寄ると、翌日から「今のプロジェクトから君は外す」と窓際に追いやられ、社労士の仕事ではなく営業の業務を振られるように。そして、半年後にはリストラ面談が設けられた。

「これはまさに、自分がやってきたことと同じ手口だなと」(ソウタさん)

 因果法則、すべて自分に返ってきたのだ。「もうここには残れない」と察したソウタさんは、リストラを受け入れた。リストラを“する側”“される側”の両方を体験しているソウタさん。人事部→社労士→リストラと、彼の道程はある意味劇的である。そして現在、ソウタさんは別の企業の人事部に勤務しているそうだ。また、人事かよ!? ここまでくると、ドラマでありカルマだ。

 一方、イチローさんは当時背負っていた「リストラ担当」のポストから解放されようと会社を退職、現在は別の会社で人事をしている。彼もまた、人事部なのか……。

 両者ともに、いい思い出がない人事部へ再び行ってしまうのが不思議だ。前職が人事部だから、再就職先でも人事へ行く可能性が高くなってしまうのだろう。当然、「人事としてリストラを担当した」という経歴に需要もあったはずである。

 今回の『ねほぱほ』は、今までで1、2を争うほどの怖さがあった。リストラ担当のつらさを伝える内容でもあったが、強く印象に残ったのは非人道的なリストラのノウハウである。

 そもそも、雇った社員を辞めさせないとダメな経営はしないでほしい。リストラしなければならないほどの経営悪化は、上層部の失敗が発端のはずだ。だから、経営陣から責任を取るのが筋。こんな酷いリストラ勧告をさせないために、組合組織の強化が必要とも感じた。そして、胸が痛かった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/03/02 20:00
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