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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.681

華やかなファストファッション業界の裏側を描く映画『メイド・イン・バングラデシュ』

華やかなファストファッション業界の裏側を描く映画『メイド・イン・バングラデシュ』の画像1
バングラデシュの縫製工場で働く女性たちは、過酷な労働条件で働かされていた

 Tシャツが1500円、パンツ類も3000円以下で手に入るファストファッションは、庶民の生活に欠かせないものとなっている。だが、その格安衣料を、誰がどのようにして作っているのかまで想いを巡らす機会は少ない。映画『メイド・イン・バングラデシュ』は、ユニクロやGAP、H&Mなどの世界的なアパレルメーカーの下請け先として知られるバングラデシュの縫製工場を舞台にした社会派ドラマだ。パワハラやモラハラが横行する劣悪な環境で働く、女性労働者たちの心情を赤裸々に描き出している。

 ファストファッションを生み出す縫製工場の多くは、発展途上国にあり、スウェットショップ(搾取工場)と呼ばれている。搾取工場で働く労働者たちの惨状が国際的な注目を集めるきっかけとなったのが、2013年4月24日に起きた「ラナ・プラザ崩落事故」だ。

 バングラデシュの首都ダッカ近郊の街で発生したこの事故は、8階建ての商業ビルが崩壊し、死者1127名、負傷者2500名以上を出した大惨事だった。ビル内には5つの縫製工場が入っており、4台の大型発電機と数千台のミシンの振動が、崩壊事故を引き起こした言われている。

 事故前日にはビルに亀裂が入っていることが発覚していたにもかかわらず、工場の経営者は「働かないと今月分の給料を払わない」と工員たちを脅し、大惨事を招いてしまった。完全なる人災だった。工場に仕事を発注していた有名メーカーが、遺族に慰謝料を支払おうとしなかったことも波紋を呼んだ。

 ファストファッションが安いのには理由がある。それは工場で働く女性労働者たちへの賃金を徹底的に押さえつけているからだ。ラナ・プラザ崩落事故以前から、換気が悪く、非常口もなく、消火器すら置かれていない安普請の縫製工場では、たびたび火災事故が起きていた。そんなブラック職場で働く23歳の女性・シム(リキタ・ナンディニ・シム)が、本作の主人公だ。

 シムたちが勤めていた工場で火災が起き、別の工場で仕事が再開される。被害者への慰謝料どころか、シムたちが働いた分の給料すらまだ受け取っていない。それでも 生きていくためには、この仕事を続けるしかない。黙々とミシンを動かし、1日に1600枚以上ものTシャツを縫い上げるシムたちだった。

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